新米管理職が書き綴る人事労務の仕事の毎日

管理職・マネージャーになりたて、あるいはこれから管理職を目指そうという方に向けて、現役管理職のわたしが経験談を中心に参考になる話をします。

日大には「危機管理学部」があるそうです。

驚くことに、日本大学には危機管理学部があるそうです。ぜひ、学んでみたいなあ、と思います。

今回の悪質タックル問題とは別に。いや、まじで。

 

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1.危機管理の仕事

 

わたしが社会人になったのが約30年前。

そのときから総務を担当してましたが、その頃は危機管理(もしくはリスク管理)という仕事はありませんでした。

将来起こる可能性のある災害や事故、従業員のトラブル、事業停止や事業継続が困難になる事象をあらかじめ把握しておき、それらが起こらないように常日頃から策を講じて実行しておく。

あるいは、事故等が起きたら、その影響が最小限で収まるよう対応する。

 

危機管理とはこんな仕事ではないか、と思います。
企業によってはもっと広義の捉え方もしているかもしれません。

 


2.危機管理業務の担当はどこがやる?

 

危機管理の業務は誰がやるのか。
一般的には総務等が行います。

 

企業によって違う場合もあるでしょう。
たとえばメーカーだったら製造関連業務が事業の中心でしょうから、製造部などが行うケースもあるでしょう。

 

ただ、リスクには様々な想定が必要になりますので、事業場や企業全体を横串にする立場としては総務部門が適していると思います。
あるいは、危機管理を専門に行う部署の設置も考えられます。


そして、最も大きな役割、あるいはリスクが大きく広がらず、最小限におさまるために重要な役割を果たさなければならないのが、広報部門です。

企業等が社外、外部との接点、コミュニケーションをはかる場です。
ここでの初動対応が、リスク管理の最重要といっても過言ではないと思います。

 

 

 

3.日本大学の危機管理はどうだったか

 

このたびの不正タックル問題に関して、日本大学の危機管理はどうだったでしょうか。

結論から申し上げるに、最悪だったと言えます。

 

今回のトラブルで、日大が最優先でやるべきことは何だったのでしょうか。
わたしは、学生の保護だと思います。

 

誰がどうしたことで不正タックルが生まれたのかの追求はもちろん大事でしょうが、トラブルが発生してからの細々した対応、マスコミに対するアナウンスなどの行動は、学生を守ることを主眼に進めるべきだったと思います。

 

というのも、タックルをした学生は20歳。成人しているとはいえ、まだ社会には出ていません。これからの人生も長い。

そもそも大学は、保護者から子どもを預かり、教育、育てる場所。
アメフット部(「雨吹っ飛ぶ」と返還されてしまうんだよなあ)を勝たせることだけが是ではないでしょう。

アメフット部の勝利と学生の教育・保護をてんびんにかけたら、教育機関の本分である後者を選択せねばならない。

しかしながら、日本大学、前監督、コーチ、広報、記者会見の司会者らは、すべて大学、あるいは自己の保身に走り、話のつじつまが合わなくなる失態を演じている。

しかも、それらの対応に不信感を抱いたのか、タックルの加害者の学生は、顔をさらし実名をさらし、誠実に自分が語れることをじっくり語った。

 

そもそも記者会見の司会進行が炎上を招くて、どういうこと? 笑けます。

 

日大と加害者、見事なくらいに対応の良し悪しが異なるものでした。

 

 

4.関西学院大学の対応は

 

ひるがえって、被害者のクオーターバックの選手が所属する関西学院大学側はどうだったでしょうか。

不正タックルというプレイの抗議、日大側への対応の要求、記者会見でのやりとり。
スポーツそのものへの危機感、そして学生を守る方向に徹しています。学生とは、自校の学生だけではなく加害者である日大の学生をも、配慮し、守ろうとしている姿勢。

これまた、日大の対応とは正反対のものでした。

 

 

5.管理職の危機管理は

 

企業における危機管理を考える際にも、総務、あるいは広報の対応は重要です。

 

さらに、日常の業務のマネジメントにおいても、管理職の危機管理の役割は重要です。

 

業務の継続を妨げる要素はどこにあるか、事業が継続できなくなるリスクにはどんなものがあるのか、天候、政治・政局、災害、海外の紛争・戦争などなど挙げればキリがないですが、ミクロでみると、労働時間管理、部下の体調、職場環境、人間関係、自分自身にハラスメントの要素は無いか等、常日頃から気を配ることだらけです。

 

あ、日大アメフト部の内田正人前監督、井上奨前コーチの発言や日頃の管理はパワーハラスメントそのものですね。

 

 

6.日大、関学のどちらの部下が幸せか

 

アメフット部の事件を企業に置き換えてみると。

 

部の選手たちが企業の部下としたら、どちらの上司たちが優れた上司でしょうか。

言わずもがな、関西学院大学ですね。

 

日大は、宮川泰介君という立派な学生を育てましたが、奇しくも教える側の立場の連中はダメダメだったという。

 

 

日本には、他にも危機管理学部が存在するらしい。

 

日大と加計学園とは。

まさに悪質タックル事件は、日本の縮図ですねえ。

 

 

 

今回の日大の失敗は、就活生、OBOGへのブランド低下の影響、そして入学しようと志望する生徒が少なくなるであろう損失を生みました。

www.yomiuri.co.jp

 

 

診断書にアルコール依存性の記載がなかった話はどう解釈するか

 

TOKIO山口達也さんの事件をもう広げようとは思いません。

被害者のご親族もそういう主旨のことを望んでおられたとのことでしたし。

 

 

 

 

ただ、総務・人事の仕事を担当しているわたしからすると、放っておけないと感じる話がありましたので、それだけは触れておきたいと考えての記事です。

 

 

1.「診断書に書かれていれば」

山口さんをのぞくTOKIOのメンバーが、記者会見をしました。

そこで、こんな主旨のやりとりがあったそうです。

 

  • (山口さんの)診断書に、アルコール依存症という記述がなかった
  • 記載があったら、それなりの対応をできていて、今回のようなことは起きなかったかもしれない

 

表現や実際のしゃべり、誰が言ったか等はわかりませんが、こんな意味合いだったと思います。

素通りできないと思ったのは、この話です。

 

 

2.アルコール依存症だったら助かったのか

アルコールに関する不祥事(的なものも含め)が多かったらしき山口さん。なのになぜ医者の診断書には「アルコール依存症」がなかったのか。

ネット媒体で読んだ記事では、山口さんの病名は「双極性障害」(昔の表現では「躁うつ病」)だそうです。

双極性障害だから、アルコール依存症とは書かれていなかった、ということだそうです。

 

アルコール依存症だったら助かったのか。

アルコール依存症」と診断書に書かれていたら、医者はそのための処置、治療を施し、また医者ではない周囲は、「お前はアルコール依存症なんだから、酒を慎め」とアドバイスしたり、アドバイスまではいかずともその人物に注目し、お酒との関わりをチェックするといったことができたでしょう。

 

しかし、あくまでわたしが読んだ記事が正しければ、ですが、双極性障害だったら大変だったでしょう。一筋縄ではいかない、というか。

 

それがわかっていたから、TOKIOのみんなは「アルコール依存症と書いてあれば」、あるいは「双極性障害ではなくアルコール依存症だったのなら、まだ助かったかも」と思ったのかもしれません。

 

 

3.双極性障害にはどう対応する?

アルコール依存症じゃなかった、では双極性障害だったら、どう対応するのか。

これはもう、医者・医療関係者じゃなければ対処できないレベルの深刻さでしょう。

メンタル不全という程度であれば、まだ、医者じゃなくても救いようがあると思うのですが(それでも程度によるとは思いますが)、双極性障害との診断となると厳しいでしょう。(これも程度によるとは思います。)

 

 

アルコール依存症双極性障害、それらは完全に区別されたものじゃないでしょう。アルコール依存症のみの患者、双極性障害のみの患者、両方を患っている患者。

 

どちらかの障害がどちらかの障害を発症させる場合もあるかもしれません。

 

 

4.アルコール依存症を自覚しよう

 

これは、わたし自身への戒めでもあります。

医療関係者から聞いたことがある、アルコール依存症の定義です。

 

自分の意志でアルコールを飲まない、と決められないなら、依存症の第一段階

 

という話。

 

「今日は車の運転があるから、酒は飲まない」のは当たり前。

車の運転などお酒を飲んじゃいけないといった事情がない状況であっても「今日は飲まない」と決断し、飲まないという実践ができないとダメ、ということ。

 

「あれ、やばいな」

と自覚された方、まだ間に合います。今から、この意識・実践を重ねていけば依存症にならずに済むのではないでしょうか。

 

 

 

福田氏の退職金減額の考察

民間企業でいうところの「就業規則違反」に該当する事案が頻発している世情です。

 

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福田前事務次官の退職金減額

 

財務省福田淳一・前事務次官

セクハラが事実だったと財務省は認め、処分するとしました。

 

その内容は「減給20%、6カ月の処分相当」ということだそうです。

その結果、退職金は5319万円から141万円を差し引き、5178万円になるんだそうです。

 

この結果、はてな? ですよね。

20%減給なのに、5000万円のうちたったの140万円が差し引きですかって。

5000万円の20%は1000万円ですが・・・って。

 

多分、この計算の根拠は、退職金そのものの20%減ではなく、退職金を計算する基となる金額(退職金算定基礎給。以下、TSQと略す)の減額なのでしょう。

TSQはざっくり言えば、月額給与に相当するもの。なので、それが20%減給されたとしても、過去のTSQの累積と、処分を受けた6ヵ月のTSQを合算したら、退職金総額では140万円ほどの減額にしかならない、という計算なのではないか、と想像します。

 

 

これが民間企業の感覚ではどうか、というと非常識と感じます。

というのも、民間企業では、就業規則違反での処分では、退職金そのものの減額を行うはずです。

 

懲戒解雇では100%減額、支給はされないということです。

諭旨解雇、つまり自己都合退職と同等の扱いだったとしても、一般的な自己都合退職とは同じではないはずです。一般的な自己都合退職の場合の退職金に対し、20%減額とか50%減額とかするんじゃないでしょうか。

TSQの減額では、最終的な退職金の計算にはほとんど影響しない。

 

これはおかしい、と感じますねえ。市民感覚でいうと。

 

懲戒とするなら、計算の基礎金額をいじっても、さほど大きな影響はないと言いたい。

退職金は、生活資金というか基本的な生活を支えるための収入ではなく、退職までの功労をお金にしたもの。

それが、セクハラ事件ひとつだけで減らされる、というのはちょっと違うと感じる人も少なくないでしょうが、あくまで功労なのですよね。

「これまでよく頑張ってくれました」

ですよ。

だからこそ、賞罰では、その程度によってしっかり上下させるべき。

 

 

一方、月額給与は、生活を支える収入なので、大胆な削減はNG。

労働基準法でも減額の幅は制限されてます。

 

 

 

財務省の事務次官辞職を総務の中の人はどう感じたか

このたびの財務省、事務方トップの福田淳事務次官の辞職は、世間の耳目を集めました。

この騒動、総務の目から見た感想を書かせていただきたいと思います。

総論から先に言うと、きわめて奇異な対応だという感想です。

 

 

 

1.最初の、麻生太郎財務大臣の対応

 

jp.reuters.com

 

最初に麻生財務大臣が、

 

  • 「事実だとしたらアウト」
  • 「事実だとしても実績を踏まえればその一点をもって能力に欠けると判断しているわけでない。(現時点で)処分は考えていない」

 

と発言した対応について。

 

「事実だとしたらアウト」という認識は、そのとおりだと思います。

一方で、「能力に欠けると判断していない、処分しない」との発言、認識は、サンドウィッチマン富澤たけしのギャグ「ちょっと何言ってるか、わかんない」ですね。

 

この発言を別の表現で表すなら、

  • 「セクハラしたって、優秀だし、これまでの仕事の功績は評価に値するから、罰する必要はない」

ということになります。
こんな認識はありえないんじゃないでしょうか。

 

セクハラ、パワハラ、果ては飲酒運転、その他違法行為など、コンプライアンスに反する言動で、就業規則その他のルールにのっとり罰するのが必要であります。極論、“優秀なら何やっても罰しない”という話になってしまいます。

 

2.財務省の対応

 

www.sankei.com

 

セクハラの証拠としての音声が公開されたこと、その対応としての財務省(麻生大臣)の対応について。

 

  • 「名乗り出てもらわないと、音声のやりとりの事実が確認できない」
  • 「第三者の弁護士にやってもらう」

 

との発言と対応の方針。これまた、普通なら考えにくい対応です。

 

ハラスメントの被害者が名乗り出るのはかなり困難なことであり、むしろ被害者の個人情報、人権は最優先で守られなければならない。


通常、民間の企業の例で言えば、中立の立場になる部署(たとえば人事部、総務部など)が、個別に双方の言い分を聞き、事実か否かを判断するということをします。が、麻生大臣の方針は、「加害者の上司が被害者に出てこい」と言っているものです。もし出てきたとして、そこでは被害者がさらなるいやがらせ、不快な気分を感じるのは間違いなく、二次被害が発生します。

そういう意味で、「第三者の弁護士」という選択肢はないこともないでしょうが、被害者側も仕事として、取材活動の一環の中で起きたことですので、被害者の所属する企業(今回の場合だとテレビ朝日)が被害者を代表して対応すべきです。

 

3.福田次官の対応

(1)辞職

福田次官の辞職。

望ましい姿としては、上司である麻生大臣による更迭だったのではないか。

 

民間企業でいうと、就業規則違反で解雇の処分があります。

その場合、懲戒解雇なのか諭旨解雇なのかの2種があります。

前者が有無を言わさず解雇、後者は退職願を書かせて解雇、つまり自ら退職を申し出る、という形です。

 

セクハラであれば、ことの深刻度合いにもよりますが、民間企業では懲戒解雇までは至らないのではないか、というのがわたしの感想です。なので、自己都合退職でもよかったかもしれませんが。

かたや今回の事件は、財務省事務次官という、官僚のトップ、事務次官のやらかしたこと。社会に対する影響度も大きいことからすると、解雇(更迭)でもよかったかもしれません。

 

(2)否定

音声データが公開されてますが、福田次官は「(音声データは)一部しかとっていない。全体を見ればセクハラに該当しない」と否定しました。

 

加害者側の「セクハラに該当しない」というのは、一方的だと思います。

ハラスメントというのは、加害者側がどう思っていようと被害者側がそう感じたらハラスメントが成立する、というたぐいのものです。

 

マスコミ、という独特の世界であるとはいえ、福田事務次官が発した言葉は、聞くに堪えない言葉の連続でした。よくこれで、「ハラスメントにはあたらない」と言えたもんです。相当の度胸の持ち主ですね。

 

 

ハラスメントとは少々異なりますが、コンプライアンスを考えた場合、よく言われるのが「それを家族に話しても、問題ないと言えるか、自問自答せよ」というのがあります。

福田事務次官が、自分の言動を家族に話せるでしょうか。話せないでしょう(と思いたい)。だとすると、彼がテレビ取材を受けて「ハラスメントにあたらない」と応えるのは、彼自身も受け入れられないのでは。そう考えると、彼の家族の心中を察してあまりあります。

 

www.jiji.com

 

こんな記事が出ました。今更感の満腹ですが、ひっそりとやるよりは反省したという姿を(恥ずかしい程度ではありますが)表に出すことは悪いことではありません。

他の省庁も従わざるを得ませんし。

 

 

福田事務次官は裁判はやる、と屈していないようですけど、果たしてどうなるのか。

 

今回の事件は残念なことですが、セクハラに対する、より多くの世間の方々の意識が変わればと願います。

 

 

 

仏(フランスじゃないよ)もだまっちゃいられない安倍政権のひどさ:総務として

福田淳事務次官が複数の女性記者にセクハラ発言をしていた件で、麻生太郎財務相は厳重に注意したらしく「事実ならアウト。今の時代では明らかにセクハラだ」とも発言していますが、

 

「今の段階で処分を考えているわけではない」

 

とのこと。

 

様々なハラスメントでがんじがらめ(悪い意味ではありません)な民間企業では考えられません。

www.huffingtonpost.jp

 

 

その一方で、前川喜平前文科事務次官の出会い系バー出入り(単なる享楽ではない目的のため)について、菅官房長官は「国家公務員というのは国民全体の奉仕者であって、公共の利益のために勤務し、かつ職務の遂行にあたっては全力でこれに専念しなければならないと思っている」と指摘してます。

www.sankei.com

 

前者は今年の話、後者は昨年の話で時間的にズレはありますが、同じ政府の人物たちの言葉です。

 

聞いてて恥ずかしくなりますね。総務の人間として、あるいは彼らが我が国の政府であるということについて。

 

まあ、麻生太郎菅義偉両氏の上司にあたる安倍晋三氏が、↓ こんなアフォな答弁をしているとこから

 

察するに余りある

 

ではありますが。以下のブログ、必見です。

 

ameblo.jp

 

 

 

 

就職活動、楽しみながら充実した時間を送れと願う

就職活動してる学生さんたち、進捗はどうですか。成果は出つつありますか。

いくら売り手市場(学生側に有利な市場)とはいえ、学生みなさんのご苦労、疲労などはあるでしょう。

 

 

 

参考になるかどうかわかりませんが、わたし自身の就職活動についておしゃべりをしようかな、と思います。

こんなときに、アラフィフのおっさんのブログに付き合う暇はないほど多忙かもしれませんが、わたしも総務の仕事で学生さんをたくさん見てきた経験もあるし、無駄じゃないと思いますよ。

会社説明会の予定を確認する手を休めて、寄ってってください。

今が忙しければ、ブックマークして休憩の時間に読んでいただいてもいいかも。

 

 

1.高校時代から大学へ

わたし自身の背景を説明しておかないと後の話につながらないので、学生時代のことを書きます。

 

わたしは高校時代は理系でした。

模試の数学で満点を5回連続してとるなどもあり、理系の大学に進む、将来は数学の研究者になりたいというくらいでした。

が、高校3年のときの物理と化学についていけなくなり、担任からも、

「数学の研究者になるなら、30歳までは女性に食べさせてもらわないとなれないぞ」

いわゆる「ヒモ」になれ、ということです。
わたしにそんな甲斐性はありませんでしたので、大学は文系に進みました。

 

2.なりたい職業は妥協

こんな経緯で、やむなく文系に変わったので、なりたい仕事、将来といったものについては希望が崩れました。

 

数学の教員が難しいのなら、メーカーでモノづくりできないかとも考えてましたが、文系(経済学部)の学生がモノづくりというのは、難しかった。少なくとも当時は。偏差値の高い大学であれば、まだ違ったのかもしれませんけどね。

 

同級生や、経済学部のOB・OGたちは銀行や証券会社などに就職していました。

わたしは、お金を右から左に動かすだけでお金儲けするというのは肌に合わない。(表現が不適切ですいません。当時のわたしの認識はそうでした。)

 

加えて、ソニー創業者のひとり、盛田昭夫さんの著書「MADE IN JAPAN」(1990年1月発行)に感銘し、「とにかくメーカーに就職する」と決めました。

 

経済活動というものは、物を作り、それを売ることから始まる。お金というものは、それを交換するときの手段にすぎない。ところが・・・(途中略)・・・いわゆるマネーゲームをしている人たちの仕事が反映し・・・(以降略)

「MADE IN JAPAN」より

 

 

盛田昭夫

盛田昭夫



 

 

 

が、繰り返しになりますが、経済学部でモノづくりは難しい。
じゃあ、どうするか。

 

3.営業ならば自分の信じられる会社を

結局、この記事で最も言いたいのはここ。

 

どうやら、うちの経済学部からメーカーに進めそうなのは、営業しかない。

 

営業って苦手なんだよなあ。

人様に頭をさげるというか、へーこらするというか。(これまた、当時のわたしが抱く営業のイメージはこうでした。)

 

でも、営業しかない。

苦手な営業するならどうするか。自分の好きなものなら営業職も務まるかもしれない。

ということで、様々な業界のそれぞれメーカーでもっとも信頼がある、あるいは自分が使っていて信じられるモノを作っている会社を選ぼう。

 

(1)ソニー

当時のソニーは飛ぶ鳥を落とす勢い。日本の技術を世界に轟かせていた先端。

オーディオセットを揃えていたわけではないけど、電器だったらソニーに入りたかった。

幸い、ソニーの採用担当(そこそこ偉い人だったことが、あとでわかった)がうちの学部まで来てくれて、学生数名と話をしてくれました。

 

現代で、同じ業界で選ぶとしたら、Appleでしょうか。

 

 

(2)キリンビール

ビールだったらキリンビール

学生時代、ずっと酒屋でアルバイトしてました。

 

スーパードライが大ヒット。

 

わたしが飲んでいたのは、親父が愛飲していたキリンビール(現在のキリンクラシックラガー)。

「銘柄の指定のないお客さんにアサヒを配達したらこてんぱんに怒られたことのあるアサヒ、なぜこんなにスーパードライが売れるのか?」と、キリンラガーとスーパードライを飲み比べてみました。

 

圧倒的にキリンがうまかった。

ビール業界ならキリンビール、決まりました。

 

(3)ワコール

当時はまだ、男性用下着を作っていなかったと思います。

なので、ワコールは「使っているモノが信じられる会社」ではありませんでした。じゃあなぜワコールか。

 

「オトコ」として、女性用下着への興味はありましたよ、もちろん。

でも、メインの意味がありました。それは、南青山のスパイラルホール。

www.spiral.co.jp

 

当時、メセナが勃興し出した頃だったかなあ。

企業がアート、文化、社会貢献(フィランソロピー)などにも取り組む。

その先端のひとつがワコールでした。

 

営業じゃなくて、文化活動へ取り組む仕事もあっていいじゃないか、と。

 

面接は2次まで進みました。

 

  • 経理をやりたいとは思わないか?」
  • 経理もいいですけど、スパイラルホールのようにワコールが手がけているメセナもやってみたいです」

 

素直に経理を受け入れてれば入社したかもしれないけど、この回答が落選のきっかけのひとつだったんでしょうね。落ちました。

 

面接を待っているフロアには、女性用ランジェリーのポスターなどがたくさん貼られていて、順番が回ってくる間、はずかしくてしょうがなかった記憶が鮮明に蘇ります。

 

 

親父と就活の話をしていて、「ワコールなんて、なんで選んだのか」と否定されました。古い人間でしたから。「キリンビール? それはいい、お前はキリンにはいれ!」いやいや、就職する会社を自分で決められるわけじゃないから。

まあ、それでも、親父と話をすることがほとんど無かった親子(現代ではわかってもらえないかもしれませんが、当時、ど田舎の家族、父親と息子の関係なんてそんなものだったんです)が楽しく会話した記憶がありますよ。

 

4.結果は

前項に書いた企業以外も含め、何社回ったかなあ。

結果、どこに就職したのか。それは内緒ですが、自分の「メーカーなら自分の信じられるモノを作っている会社を」という信念は間違っていませんでした。

 

結局、営業をやることはなく、ほぼずっと総務の人生ですが、総務でも営業でもモノづくりでも。自分の信じられる会社を選ぶ、というのが一番だと思います。

面接官の定番質問、「なぜ当社を志望したのですか?」は、信じられる会社を選んでいれば自然と体の中から答えが出てくるはず。面接官は本音のそれが聞きたいのです。

 

本気なのか、単に面接をこなすだけでうちの会社の面接に来たのか。
志望理由だけで面接は受かりませんが、しっかりした志望理由は必要条件です。

もし入社したら、その会社に勤務できることが幸せな毎日になる、ということもある。
だからこそ、就職活動であまり考えず、数をこなすよりは、しっかり企業選びをせよ。

それが一番の、成功に結びつく就職活動のアドバイスです。

 

何より、自分の好きな企業を訪問できる、その会社の中の人と話ができる。

苦しい就活ではなく、楽しんでました。

 

 

【追記】こんな記事を見つけました。

盛田昭夫の達観。

bunshun.jp

採用面接と政権担当能力

企業による採用活動が始まり、一方で政治は佐川宣寿・前国税庁長官の証人喚問で賑わっています。

「賑わっている」という表現が不謹慎? いやいや、誰もまともに答えていない様子はもっと下品な表現をしても描写できないほどです。

 

 

 

 

1.「政権担当能力」とはよく作られた言葉と思います

 

政権担当能力」とは何でしょうか。

文字どおり、政権を担当するために必要な能力、ということでしょう。

うがった見方かもしれないし、正確な情報ではないですが、自民党が自党以外の政党に対して自党の優位性をアピールしようと作った言葉ではないか、と思っています。

 

もう、この言葉を使った時点で、自民党は負け、と国語の点数が低かったわたしには思えてしょうがないのです。

「これまで政権を担当した実績があるから、うち(自民党)しかできまへんで」

くらいの意味しかない“造語”ですよね、いわば。

 

 

2.採用面接で見る「能力」

 

民間企業での採用面接で、採用担当者、面接官(企業によっては「官」が上から目線的印象を与えるので「面接者」と表現しているケースもありますね)は応募者をどんな視点で見ているんでしょうか。

 

新卒の採用であれば、応募者はまだ学生ですから、即戦力は期待してません。

即戦力よりも、

 

  • こいつはうちの会社の連中とうまくなじんでいけるか
  • (逆に)うちの会社の連中に新風を吹き込む存在になれるか
  • 努力とか、一生懸命頑張ってくれる要素を持っているか
  • そのための体力はあるか
  • 真摯に仕事に、課題に取り組む姿勢の持ち主であるか

 

といったことではないでしょうか。

わたしなら、そういうところを見ます。

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3.即戦力 ≒ 政権担当能力

 

こういう発想、考えの流れの中で、学生に求めない即戦力と「政権担当能力」はニアリーイコールだと思えてくるんですよ。

 

ここで、即戦力は政権担当能力といえると思います。

ひらたく言えば、

 

学生に即戦力は求めず、育てていく=政治家に政権担当能力は求めず育てていく

 

そのための人材が、議員にふさわしいのかどうか、そういうことを求めたいように思います。

 

さて、面接官であるわたしたち国民は、誰を、どの政党を「採用」すればいいのでしょう?

 

 

以上、採用担当者の愚痴でした。