新米管理職が書き綴る人事労務の仕事の毎日

管理職・マネージャーになりたて、あるいはこれから管理職を目指そうという方に向けて、現役管理職のわたしが経験談を中心に参考になる話をします。

枝野幸男の「炎の3時間大演説」感想文をサラリーパーソンなりに書いてみる

言わずとしれた、枝野幸男氏による、安倍内閣不信任決議案の提案主旨を説明する演説をそのまま掲載した本です。

発売され、すぐ話題になりました。

 

枝野幸男、魂の3時間大演説

枝野幸男、魂の3時間大演説



というか、そもそも、枝野幸男氏(立憲民主党代表)が安倍内閣不信任決議案の主旨説名という演説が約3時間(正確には、2時間43分だそうです)もの長時間だったことが話題となり、しかもその演説の内容が理路整然としていた、しかも原稿が用意されていたわけではなく、たったの数枚のレジュメだけが演題にあったというだけだった、といったことで話題となりました。

 

「お冷を飲む」まで細かく原稿に書いてあるのに、背後を「せぃご」と読んでしまう、不信任の対象になった安倍首相とは大違い

 

記録が残るなかで、2時間43分は衆議院で最長だそうです。書籍もAmazonでも1位になったそうですよ。

 

そんな本ですから、この本の解説、評価は多くの人によってすでになされています。Amazonのレビューもたくさん残ってます。

この記事では、管理職がわきまえるべきコミュニケーションという観点から書きます。
そういう観点からも、大変興味深いです。

 

 

1.アサーティブな文言

 

以前、このブログで「アサーション」について触れたことがあります。

アサーションとは何か、わからない方はその記事やこちらをご覧いただければ、と思います。

 

www.direct-commu.com

 

この本、つまり枝野幸男氏の演説はアサーションに優れている。アサーティブな内容、文章になっているということが言えます。


この本をあらためて説明すると、野党(国民民主党・無所属クラブ、無所属の会日本共産党自由党社会民主党市民連合及び立憲民主党・市民クラブ)を代表して、立憲民主党の代表・枝野幸男議員が、安倍内閣不信任決議案の主旨を説明した演説を、そのまま書籍化したものです。

 

解説は、上西充子氏(法政大学教授)、田中信一郎氏(千葉商科大学特別客員准教授)です。(この2人の解説が、演説の価値を理解するのに大きく貢献してます。)

 

 

不信任決議案です。時の内閣を「任せられない」と主張する演説なので、アサーションなんて言ってる場合じゃない場面です。

でも、アサーション、アサーティブな表現で演説することが必要だったし、またアサーティブな演説が必要となるくらい、安倍政権が情けないのです。

 

 

この演説は、単に安倍首相や閣僚の否定をするだけではなく、随所に、

 

  • 立憲民主主義ってこういうことですよね
  • 保守ってこういう歴史から生まれたものですよ、保守なら保守らしくしてください
  • 国会ってこういう役割を果たすべきところです、ところが・・・

 

といったように、本来あるべき姿を丁寧に説明し、そこから大幅に逸脱し自分たち本位でめちゃくちゃな国会運営、行政を強行している現実を指摘しているんです。

 

安倍首相、安倍内閣に対し、そうやって噛み砕いて説明する必要がある。それくらいの意識になるほど、

 

もしかして、国会の役割ってわかってないんじゃないですか?

 

と言いたくなるほど、安倍内閣の対応は疑問に満ちたものでした。

だからこそ、アサーティブな物言いにならざるをえなかった。

 

 

管理職には、人の上に立つには、アサーティブな姿勢や言動が必要です。必須です。

 

管理職にとっては、受難な時代です。

360度評価といって、上司や会社(上)の評価だけではなく、他の部署の管理職、ましてや部下からも評価される仕組みが導入される時代。

 

「部下からの評価」は決して大げさではなく、たとえばAさんという管理職をAさんの部下が評価する、という一対一だけではなく、全社員から企業運営やトップ、経営層、リーダー(管理職、マネージャー)の指導・教育・ビジョンは理解できるか?などの調査(エンゲージメント調査などという名称だったりします)をもとに企業運営をする会社が増えてきました。

エンゲージメント調査は一人ひとりの評価に結びつくものではないですが、まあとにかく全方面から評価される立場。

 

部下に対する厳しい指導は、パワハラとなってしまいます。

部下を育てよう、部下の成長を期待しよう

という想いからの指導じゃないと。

 

厳しい指導が意味あるものになるには、アサーティブ、アサーションです。

 

 

2.政治の入門書としても

 

この演説は、国会運営、国会議員、与党・野党の役割などなど、枝野議員が丁寧に説明してくれています。易しく噛み砕いて。

 

政治の仕組みの勉強、おさらいにも非常に有用。

 

アベ政治のおかげで、政治に関心を持ち始めたわたしにもぴったりでした。

ちゃんとわかったうえで、アベ政治を批判する。(あ、アベ政治を擁護、あるいは支援する人を否定はしません)

 

上西充子氏田中信一郎氏の解説も、理解を深めるのに役立ちます。

 

 

価格も手頃。大きな書店では見当たらなかった(少なくともわたしの住んでいる地域では)ので、ネットからお求めになるといいと思います。

 

 

 

こんな記事も書いてました。

今こそまさに、#枝野立て

www.ewave.space

管理職昇格の面接に向けての準備

このブログにたどり着いた方の中には、管理職、あるいは何らかの昇格のための試験を真剣に考えておられる方がいらっしゃるでしょう。

 

なんども昇格試験、面接を受けてきた経験をもとに、「こんな心構えでどうでしょうか」というのをご紹介します。あくまでわたしの経験談ですので、当たるか否か、正しいかどうかはわかりません。参考程度に。


別のブログに同じような主旨の記事を書いてて、マルチポストと疑われるかもしれません。その点はご容赦ください。

 

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想定される質問

 

これらの質問にどう答えるか、普段からこういうことを意識して仕事しているか。参考にしていただければ、と思います。

 

  • どういう仕事を担当していますか? その仕事の目的は? その仕事の“お客様”は誰ですか?
  • その仕事に対して、どういう想いで取り組んでいますか?
  • これまでどんな仕事をしてきましたか。異動、転勤の履歴を教えてください。転職していたら、以前の会社のこともコンプライアンスの違反にならない範囲で教えてください。(退職の際に、守秘義務契約を締結する場合がありますので、安易に前の会社のことを話すことは注意が必要。)それらの経験から得られたあなたの強みはありますか。
  • あなたの強み、得意なことを生かして、会社にどう貢献しますか。
  • あなたが、他の受験者より勝っていると誇れる強みはありますか。
  • あなたの部署、あなたの在籍する事業所が抱える大きな課題は何ですか?
  • その大きな課題に対して、あなたが事業所の長(支店長、部長、工場長等その事業所・部門のトップ)になったつもりで考えてください。
  • それらに対して、あなたはどういう気持ち(考え方)でどういう役割を担っていますか?
  • 仕事において心掛けるべきと感じ実行している点があれば教えてください。
  • あなたのこれまでの経歴で、上司、部下、同僚を含めて学んだ人がいますか? それはどういう点ですか?
  • 管理職になったら、どう言う考え方で仕事に臨みますか? これまでとは変えないといけないと思っている(変えつつある)点はありますか。
  • 今のリーダーをどう言う気持ち、形でサポートしていますか?
  • メンバーを育成していますか?

 

これらの質問は、受験者の意識や姿勢を問うものです。

人によって何を聞かれるかは変わってくるでしょう。わたしの場合は、意識、姿勢が足りないと思われていたのかもしれません。だからそんな質問をされたのかもしれません。

 

優秀な方、将来の幹部候補生であれば、事業運営について聞かれるかもしれませんし、幹部である面接官が「こいつを自分の後任にしようと思っている、そのために資質を問うてみたい」と聞いてくる場合もあるでしょう。

 

 

 

●適性検査(V−CAT)が行われる場合があります

soumu.hateblo.jp

 

 

 

 

その他にも、管理職昇格のための試験はいろいろあります。こちらにまとめてます。

soumu.hateblo.jp

 

 

 

 

とあるマネージャー向けの研修を受けた際、内省、リフレクションというものを学びました。マネージャー、リーダー、管理職が心得ておくことがストンと落ちてきたことを学んだ本です。 

リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)

リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)

 

 

人事・労務担当者がふるえて喜ぶ仕事の瞬間:採用

人事・労務担当者の愚痴の記事です。

 

 

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人事、労務、総務の仕事は、ちゃんとできて当たり前。

ほめられる、評価されることはまずありません。

逆に、うまくいかなかったときにはこっぴどく叱られる。

 

たとえば、異動や転勤は、多くのサラリーパーソンにとっては嫌なこと。

「いい転勤だ」となる場合もないこともないだろうけど、イヤな転勤・異動があったら、そのマイナスな印象が強く残り「自分は転勤させられた」と被害者意識になる。そして人事部をうらんだりする。

 

 

人事評価、考課。これも、まず喜ばれることはない。

 

どんな会社も、どんな組織も、まず間違いなくバランスよく評価をするはず。
つまり、良い評価と悪い評価と標準と。

だから、良い評価をしてもらった部下、良い評価を与えた上司は喜ぶはずだが、良い評価をした分、悪い評価をしなければならない部下もいる。かわいい部下に良い評価を与えたい上司も、人事担当者の調整で評価を下げなければならない場面に出くわす。

悪い評価の方が記憶が強く残る。
だからやっぱり、人事担当者は嫌われる。

 

不祥事があったら、就業規則に則って処罰する。
これも憎まれ役。

不祥事を起こした人物はもちろん処罰を受ける立場であり文句は言えないのだが、周囲は、不祥事はそっちのけで人事担当者を嫌う。

 

人事担当者は冷酷

 

あるいは、

 

もっと厳しい罰で処する必要がある、人事担当者は甘い

 

個人ごとで感じる印象は異なるので、どちらの側からも文句は出る。


そんなこんなで、人事労務担当者は嫌われ者。
つらい立場なのである。

 

 

 

 

 

採用面接

 

そんな人事・労務担当者でも、担当者だからこその喜びを感じることができる仕事があります。

それは、採用。

 

新卒にしても、中途採用(経験者採用)にしても、会社に新しいメンバーを迎えるための面接は喜びにあふれる。

 

もちろん、不合格にしなければならない応募者もいる。それはつらい。

が、素晴らしい応募者に出会ったときの面接ったら、楽しくてウキウキして、小躍りしてしまう。

 

他の誰よりも早く受けることができるあの喜びだけは、何物にも代えがたい。

 


つい最近、そんな面接がありました。

面接官のひとりは、

 

彼ら彼女らが、中堅社員たちの仕事を奪ってしまうかもしれない(いい意味で)

 

とまで言うほどに、優秀で好感が持てる応募者たちでした。

面接官ではなくコントローラー役(応募者の誘導、待機時の雑談など)のわたしでさえ、こんな優秀な人材を来春迎えることができるのがワクワクするほどでした。

 

 

性善説性悪説

 

人事労務担当者は性善説にたつべきか、性悪説にたつべきか。

間違いなく、性善説だ。

 

「この応募者は将来きっと成長する人材だ」

「ミスを出してしまったけど、彼はそれを反省材料にし、再発防止策を立て、むしろ仕事の質が上がるはずだ」

「不祥事を起こし厳罰としたが、心を入れ替え、新たな場できっとまっとうな人生を歩んでくれるはずだ」

 

性善説は人事労務担当者だけではない。
世のリーダー全員がそうであるべきだ。

 

成長を期待するからこそ、厳しく叱る。

ハラスメントになるのは、部下の成長を期待していない、あるいは部下の成長なんてどうでもよくて自己中心なリーダーだ。

前回の記事で書いたとおり。

 

soumu.hateblo.jp

 

面接も、そのような考え方でのぞみたい。

とはいえ、不合格にしなければならないときもある、もちろん。

それでも、

うちの会社では不合格にしたけど、他の企業・組織ではフィットするはず。がんばれ」

 と送り出したい。

 

 

まとめ

 

人事、労務の仕事は、ただそれだけでつらい。

でも、それらを凌駕して余りある喜び、それが採用です。

 

愚痴を書き始め、最後は自分を納得させる結びにしました。

 

 

 

一流のマネージャーは、パワハラと「厳しい指導」の境目を区別する

ハラスメントのニュースについて、枚挙にいとまがない昨今。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

 

しょうがねえなあ、あいつら

 

と、問題になる指導者を他人事と思ってませんか。

 

 

一本足打法の王貞治と荒川博

王貞治一本足打法を指導する荒川博

 

 

ビジネスパーソン、職場でもパワハラになりがちな指導はあります。

リーダー、マネージャー、管理職らはこれらをしっかり区別、意識して指導する必要があります。

 

パワハラになってしまう可能性 厳しいが適切な指導
自分の価値観で一方的に相手を否定する 相手の価値観を認めたうえで指導する
相手を受け入れずに、ダメ出しをする 相手の長所を評価しつつ、改善すべき点は厳しく指導する
相手の性格やくせなど、人格も否定する 相手の役割や職務の範囲で指導する、起きた事実をもとにそのことだけを注意する
相手の立場や環境をまったく考慮に入れない 相手の状況に応じ、適切な叱り方をする
ミスは絶対に許さないという考え方 ミスをどのように防ぐかへの対応にフォーカスする
相手がつぶれてもいい、ケガしても仕方ないというスタンス 相手や組織を成長させるための指導というスタンスを厳守する

 

もちろん、これらを区別すれば暴力をふるってもいいわけではありません。

無茶な罰(たとえばグラウンド100周走る、意味なく降格させる、シュレッダーだけしか仕事を与えない・・・)を与えていいわけでもありません。

 

人間性の尊重、育成・成長をうながす、仕事のその先にあるお客様、消費者の益になるかを指導、マネジメントのベースに置く必要があります。

 

 

お手本が反面教師でどうするよ?:官庁障害者雇用水増し問題

障害者雇用に関して、ニュースが飛び交ってます。

備忘録としても書き留めておかなければなりません。

 

 

 

 

0.障害者雇用

 

ご存じない方のために、まず最初に障害者雇用率を説明しておきます。

 

厚生労働省のサイト)

障害者雇用率制度

 

国や地方公共団体等、そして民間企業は、障害者を法律で決められた割合で雇用しなければなりません。

その割合ですが。現在、民間企業は2.2%、国・地方公共団体等は2.5%です。

 

民間企業に比較して国・地方自治体の率が高いのは、その責任の度合の高さ、あるいは模範を見せなければならない、という意味合いでしょう。

 

 

1.障害者の雇用率の水増し

 

さて、今回問題になっている件。 

 

www.nikkei.com

 

 

制度が始まった当初から40数年にわたり、実際よりは多くの人数の障害者を雇っていると嘘の報告をしていたって話です。

実際には、法律で求められる人数の半分しか雇っていなかった、とも。

 

で、政府(厚生労働省?)が調査にはいるのだとか。その調査もちゃんとできるのかどうか怪しいものですが。

 

下衆の勘繰りですが、水増しは黙認されてきたが、安倍三選を狙う連中が官僚潰し(官僚には楯突かせない)にかかってきたのでは、とも思ったりするのですが。

 

 

2.役所勤めの経験

 

わたしには役所に勤めていた経験があります。

その頃、当時の労働省(現在の厚生労働省)のビルに行った際、エレベーターにエレベーターガールがいました。

官庁のビルにエレベーターガールなんてけしからん!とお感じの方もいるかもしれませんが、そのガールたちは障害者でした。

つまり、障害者雇用をしていたのです。

 

何時間交代かわかりませんが、その間、乗ってくる人たちに何階かを聞いてボタンを押す、という単純作業の繰り返し。

つらいだろうな、とは思いながらも仕事があるといううれしさもあるだろうし、さすが労働省、よくやってるな、と思ってました。

 

今回の水増しには総本山の厚生労働省ははいってないのでしょう。

 

 

でも、数年前だったと思いますが、関西のどこかの厚生労働省の外局というか、自治体の部署で、障害者雇用の被雇用者がひどいハラスメントを受けているというニュースがありました。今探してみたけど出てきません。

ごめんなさい、なのですが、当時その不祥事に謝罪に出ていたのが、一緒に仕事をしたことのある公務員でしたので、よく覚えています。

 

元締めの厚生労働省だってそうなのですよ。

 

国が、官庁がこんなんやってこられた日には、民間企業は真剣にやろうという気が削がれます。

 

 

 3.その他にもたくさんの反面教師

 

佐川元国税庁長官のもとでは、まともに確定申告なんかしたくありませんよ。

LGBTディスる国会議員がいて、死刑囚とはいえ何人も死刑を執行して(その前夜には赤坂自民亭なる飲み会やってて)、人権を司る法務省法務大臣がその飲み会のおかみをやっていたとか。

教育をつかさどる大臣だった方は、献金に関して不起訴になり、「改めて国民に説明する」と言ってたのを無視し、「あ、教育のトップの大臣がこんな程度だったら」とだらけてしまいますよ。

 

 

一番ひどいのはわかりますよね。

安倍首相は、自民党総裁選について石破氏の公開討論開催の呼びかけに応じていない。

そもそも、西日本豪雨の対応もおざなりにして、自分は別荘でゴルフですか。夏休みとっちゃいけないとは言いませんが、股関節が悪いと言いながら視察をさぼり、二日酔いで会議に出て、野次るなと野次ったり、やりたい放題。

こんな人物を首相にしないといけない日本国民は情けなくてしゃーない。

 

 

 

わたしは過去、障害者の社員を部下にしていたことがあります。障害者職業生活相談員の資格もありましたし、企業における障害者雇用の元締めの人事総務部でしたから、一生懸命やりましたよ。

 

障害者雇用といっても簡単ではないんです。

聴覚障害者に手話や口述筆記やれば済むだけじゃだめなんですよ。四肢の不自由な社員に手取り足取り教えるだけじゃ障害者雇用なんて務まらないんです。大げさにいえば、血を吐きながらやってるんです。

 

簡単に「障害者雇用」なんて口にしないでほしいもんです。厚生労働省には、そして政権には。

 

 

 

 

世界ソフトボールに見習うべきことが多いと感じた日本の労働

この週末は、多くのスポーツを楽しみました。しかも記憶に残るようなものばかり。

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高校野球済美・星稜戦の大差からの逆転、そして延長戦でタイブレークでの逆転満塁サヨナラホームラン、「水泳王国日本」を思い出させそうなパンパシ水泳での日本人選手のメダルラッシュ

そして、ソフトボールの世界選手権。

 

それらのどれも印象的でしたが、このブログではソフトボールを取り上げたいと思います。

仕事、あるいは人事労務といった観点から見ても印象的だったからです。

 

 

 

 

1.人材の育成、登用

 

敗者復活から決勝でアメリカと戦った日本、残念ながら、本当に残念ながら負けて準優勝。

惜しかったですね。

 

勝戦当日の昼に行われた3位決定戦、その3。5時間後の決勝にも投げ抜いたエース、上野由岐子投手頼りになっているという批判がありました。

 

なぜ他の投手に変えなかったのか

 

と。そう考えるのも無理はありません。1日で400球以上投げました。他に投手はいなかったのか、と。

 

一方で、若手の登用もちゃんとしていたみたいです、宇津木監督は。

捕手の我妻選手(23歳)をはじめとして。

 


さて、この事象を企業側に置き換えれば。

 

仕事ができる人には仕事はどんどん集まってきます。そういう人に限って文句も言わず、淡々と仕事をこなします。

でも、それだと周辺や若手は育たず、チームプレイができません。

まして、その仕事人は超過勤務が激しく、疲労も。メンタルヘルスも不全となる場合もありうる。

 


企業に置いては、スポーツよりもさらに、チームプレーであること、個人ではなくチーム、組織として仕事ができる、成果を発揮する人づくりをしたいものです。

組織づくりのための若手の育成と登用、そして超過勤務回避・健康障害回避のための特定の社員に集中しない仕事の分担など。

 

 

 


2.巧遅より拙速

 

ソフトボールは、守備の選手の動きがきびきびしています。

野球よりもプレイするフィールドが狭いから(ベース間の距離は野球の2/3)というのが一番の理由だと考えられますが、高校野球も同じくきびきびしています。

 

プロ野球との比較においては、その差が印象的です。

特定の誰かを指しているわけじゃないですが、ボテボテのゴロをわざと体の遠いところで手を伸ばしてキャッチしてかっこよく一塁に投げる、とかね。

 

ソフトボール高校野球、それらのきびきびした様子は、テレビで試合を観戦していてすがすがしささえ覚えます。

 

ランナーがいる場合、塁間が短いので、どのランナーをアウトにするのかとか、ホームに投げるべきか否か等々瞬時の判断と動作が求められます。

わたしが観ていた試合でも、数回フィルダースチョイス(野手が投げるべき相手を間違った、というミス)が出てましたし、逆にほとんどは日本チームも相手チームも素晴らしいプレイでした。

あのようなプレイは観ていて清々しいし、ゲームも締まります。 

 

 

日本の労働環境は、相変わらずだらだらと長く仕事をする(職場にいる)という風習(?)です。

それは良くない、ということは会社も管理者も頭ではわかってきてはいるものの、仕事が終わったらさっさと帰る、ということが定着しません。

 


ソフトボールと日本のだらだら仕事を比較するのは暴論かもしれませんが、だらだら仕事という風習、なんとなく守らなければならない習慣・行動規範が、女子ソフトあるいは高校野球を参考にして、いい意味で崩れるといいんですけどね。

いずれのスポーツも最近はじまったものではないので、期待するのも無駄でしょうけど。

 

 

サマータイム制が悪影響を及ぼすであろう、と思われる長時間労働化も、そこが課題ですね。(いつもより1時間早く仕事を始めたけど1時間早く退社するか、というとしませんからね。)

soumu.hateblo.jp

 

 

 

3.多彩な人材活用

 


ソフトボールのルールとして、交代したあとも出場できるリエントリー制度があります。(スタメンの選手のみ、という制限はありますが)

 

企業においても、やむを得ない事情(出産、育児、配偶者の転勤についていかなければならない等)により退職した社員を活用するという仕組みをすでに実行している企業もありますし、これから導入する企業もみられます。

 

 

労働力不足が懸念される将来、こういった人材活用策も有効だろうと思われます。

 

 

 

わたしたちが物事を変えたい、良くしていきたいと考えるとき、そのお手本、参考になる見本、逆に反面教師となる存在などは周囲にゴロゴロ転がっているものですね。

 

 



サマータイム制で得するのは誰もいない、安倍首相でさえ

東京五輪で、夏の暑さを回避する対策としてサマータイム制導入の是非が検討されているようです。

推進、あるいは前向きなのは五輪委員会、東京都、安倍首相およびその周辺だけで、多くはサマータイム制に反対という声が大きいような気がします。

サマータイム制について、知っておきましょう。

 

 

 

1.サマータイム制の基本

 

簡単に言ってしまうと、時計の針を、本来の時刻より進めることです。

現在、東京五輪のために検討されている「2時間のサマータイム制」を例にすると、
サマータイム制を開始する日から、全国のすべての時計の針を2時間進めます。
どういうことかというと、実際には午前5時である時刻を午前7時とすることになります。

サマータイム制とは、たったこれだけのことです。

 

 

2.サマータイム制の考えられる効果

 

サマータイム制のおおもとは、たったのこれだけ(時計の針を進める)ですが、これがどういう効果を持っているか、というと。

たとえば、普通のサラリーパーソン(サラリーマンのこと)の仕事の時間が9時~18
時だとすると、サマータイム制を導入することによって、9時~18時は変わらないけど、実際の時刻は7時~16時となるので、サマータイム制じゃない時期(以降、非サマータイム制)よりは2時間早い時間帯に仕事をする、ということです。

 

このことで得られる効果があるとすれば、

 

  • 夏には、比較的涼しい時間帯での仕事となる
  • まだ明るい時刻に仕事が終わるので、残った時間(余暇時間)を創出することができる
  • クーラーをつける時間帯が早まるので、省電力(エコ)になる

 

といったことでしょう。

 

オリンピックに関して言えば、たとえばマラソンのスタート時刻を午前7時と設定していたとすると、サマータイム制を導入することで、スタート時刻は「午前7時」で変わりませんが、実際には午前5時のスタートとなります。

そのため、暑い時間帯を避けてのレースとすることが可能となります。

 

※オリンピックに関しては、スタート時刻の変更をするだけの目的なら、サマータイム制の導入は必要ではなく、単にスタート時刻を早めるだけでOKな感じがしますし、実際、サマータイム制導入に反対する人たちはそのように主張されてますね。

サマータイム制への批判は、後にも書きます。

 

 

3.サマータイム制の弊害

 

いいことばかりのような気がしますが、そうでもないようです。

 

 

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(1)残業が増える

 

日本人の昔からの働き方、習慣では、表面上の18時、実際には16時に仕事が終わったとして、そこで「ハイ、退社」となるでしょうか。

今でさえ、仕事が終わったらさっさと退社なんてことはまれでしょう。結局は、実際の18時とかまで仕事するんじゃないでしょうか。だとしたら、サマータイム制は残業を増やすだけの制度のような気がしますね。

 

上図をご覧ください。手書きで描いた黒い線の部分、余暇を増やそうとする部分ですが、日本人は余暇時間を増やすということはしないと思います。譲っても、する人は少ないと思います。

 

過去に、平成にはいったあとでも、日本でもサマータイム制が検討されたことがあるようですが、結局導入に至らなかった理由の1つは、「残業が減らない」だそうです。

(公務員の仕事をしていた頃、職場の先輩から教えてもらいました。)

 

 

結局長く仕事をすることになると、オフィスの稼働時間帯は変わらない(むしろ長くなる)ので、電力消費を減らすこともできません。

 

(2)睡眠のパターンが乱れ、体調を崩す

 

あなたの睡眠のパターンは決まってますか。バラバラですか。

多くの人間の睡眠パターン(何時に寝て何時に起きる)がほぼ定まっていると思います。

 

わたしなら、22時~22:30の間に寝て、5時~5:30に起きるというパターンです。


 

サマータイム制を導入したからといって、いつもより2時間早く起き、いつもより2時間早く寝ることが可能でしょうか。

慣れれば可能かもしれませんが、慣れるまでに時間がかかり、慣れたころにはその年のサマータイム制は終わっちゃうんじゃないでしょうか。

 

そもそも睡眠時間帯を動かすのは、身体によくないような気がします。

睡眠に若干の障害があり(「睡眠障害」という病名が付くほどではないですが)、睡眠をしっかりとる必要があるわたしは、なんらかの影響があって眠りにはいる時間が早かったり遅くなったり、あるいは起きる時刻が早まったりすると、体調が狂います。

それが、2時間も影響があるのですから、影響は深刻だということが簡単に想像されます。

 

 

ベンジャミンさん(@benjamin_justic) がツイートしてくれています。

百に一つのいいこともありません。

 

トップに立つと、自分の成果としていろいろ制度とかシステムを変えたがる、という話を聞きますよね。

安倍首相がそういう発想なのか知りませんが、日本を、オリンピック出場者を苦しめることになるサマータイム制は、

安倍さんは何もわかってないなあ

という、他の施政と全く同じ感想を抱く項目のひとつでしかありません。

 

 

追記

大変力強い、説得力あるツイートを埋め込みます。