ときは4月。
通勤経路で、周囲で。
着慣れていない制服に身を包む新入生や、いかにも歓迎会に引率されているっぽい先輩社員と新入社員たちなどなどを目にします。
あー、そんな季節なんですね。
新入社員の入社は、彼ら彼女らにとってはもちろん、彼ら彼女らを迎え入れる企業側にとって大きな、良い意味での変動という話です。
1.新入社員にとって大きな変化なのは当たり前
新入社員を迎え入れるとき、新入社員研修とかオリエンテーションとか、そういったものを実施します。
彼ら彼女ら(以下、新人と記する)の社会人生活への導入、「社会人生活ってこんなもんだよ」っていう教え、会社の制度の説明、入社のための手続などが主目的です。
新人にとっては大きな生活の変化(生活どころか、人生の変化といってもいいくらいですね)でありまして、
- 「お金を払って学ぶ」から「働いてお金をもらう」
- (大学卒の新人の場合の多くが)怠惰な生活から規律正しい生活への移行
といった変化が生じるわけです。
その大きな変化を、スムーズに新人が受け入れ、馴染んでいくのをナビゲートするといった目的です。
新人にとっての大きな変化をスムーズにする取り組みということですね。
2.「一般人に最も近い、我らの仲間」
入社、特に新卒の入社というのは、企業にとっても大きな変化です。
「4M変動」という言葉がありますね。MAN(人)MACHINE(機械)MATERIAL(材料)METHOD(方法)の頭文字。
これまでの状態から、これらの項目のどれかが変わることで、大きな変化が生じる、ってことです。
ミス、事故、品質の低下、災害の発生の可能性を想定し、それらの防止に備える行動をとります。
(MATERIALをMoney(お金)とする場合もありますね。製造業じゃない場合、こっちのほうが一般的かも。)
新人の入社は、新人本人にとっての大きな変化であるのは当たり前なのですが、それ以上に、企業側にとっても大きな変化なのです。
それを、企業は良いチャンスとしてとらえたい、と思うのです。
企業に存在する既存の論理、倫理を破壊するってことです。
破壊だけが是、ではありません。
社会一般としての論理、倫理は理解し、継続していく必要があります。
また、その企業の歴史、経歴の中で積み上げた中で、維持継続することが必要な教えや決まり事なども継続、伝承が必要でしょう。
だから、破壊だけが良いわけではありません。
が、その企業ならではの理屈、論理が、一般人にとっては受け入れがたい内容ということはあります。
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たとえば、午後2時に開始の会議、2時にようやく席を立ち、会議室に到着するのは2時3分なんてことが当たり前だったりしませんか。
これが、出席者が社内だけだったらまだしも、社外の人も参加する会議だったりすると、その会社はどうかな?と思われるでしょう。
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大声を出してりゃお客さんは満足する、としか思ってないんじゃないか、という居酒屋があったりしますが、客によってはうるさいと感じる人もいますよね、きっと。
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などなど。
要は、新人がはいることで、それまで当たり前だった慣習。悪い慣習を打ち破るチャンスだ、ということです。
わたしたちビジネスパーソン(特に歴史の古い大企業が典型じゃないかと想像しますが)は、同じ組織に所属していない人、あるいは消費者といった人たち(以下、便宜的に一般人と表記します)の目線や価値観、客観的な視点を持つことが必要と思います。
そんな意味から、新人たちに向けて、
- 君たち(新人のこと)は「一般人に最も近い、我らの仲間」 という貴重な立場
- 「先輩社員の言ってることが理解できない」「倫理的に間違っている、ちょっと違う」「もっと効率的な方法があるのでは?」「消費者のことを考えたら、こうじゃなくてこうあるべき」みたいな気づき、提案をどんどん出して欲しい
とお願いしています。
Appleの創業者のひとり、スティーブ・ジョブズは
「消費者の欲しいものを作るだけではダメ。消費者が想像できない、あらたな世界を創造するくらいではないといけない」
という意味の発言をしていたらしいですが、彼のこの発想は別にして、自分の企業の論理、倫理に凝り固まっているようだと、組織は腐敗したり、消費者から離れていきます。
なのでときどきは、一般人の価値観、倫理観に触れる必要があります。
新人は、最も一般人に近い仲間。
そんな彼ら彼女らが企業をさらに成長させるきっかけになるととらえています。
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