新米管理職が書き綴る人事労務の仕事の毎日

管理職・マネージャーになりたて、あるいはこれから管理職を目指そうという方に向けて、現役管理職のわたしが経験談を中心に参考になる話をします。

福田氏の退職金減額の考察

民間企業でいうところの「就業規則違反」に該当する事案が頻発している世情です。

 

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福田前事務次官の退職金減額

 

財務省福田淳一・前事務次官

セクハラが事実だったと財務省は認め、処分するとしました。

 

その内容は「減給20%、6カ月の処分相当」ということだそうです。

その結果、退職金は5319万円から141万円を差し引き、5178万円になるんだそうです。

 

この結果、はてな? ですよね。

20%減給なのに、5000万円のうちたったの140万円が差し引きですかって。

5000万円の20%は1000万円ですが・・・って。

 

多分、この計算の根拠は、退職金そのものの20%減ではなく、退職金を計算する基となる金額(退職金算定基礎給。以下、TSQと略す)の減額なのでしょう。

TSQはざっくり言えば、月額給与に相当するもの。なので、それが20%減給されたとしても、過去のTSQの累積と、処分を受けた6ヵ月のTSQを合算したら、退職金総額では140万円ほどの減額にしかならない、という計算なのではないか、と想像します。

 

 

これが民間企業の感覚ではどうか、というと非常識と感じます。

というのも、民間企業では、就業規則違反での処分では、退職金そのものの減額を行うはずです。

 

懲戒解雇では100%減額、支給はされないということです。

諭旨解雇、つまり自己都合退職と同等の扱いだったとしても、一般的な自己都合退職とは同じではないはずです。一般的な自己都合退職の場合の退職金に対し、20%減額とか50%減額とかするんじゃないでしょうか。

TSQの減額では、最終的な退職金の計算にはほとんど影響しない。

 

これはおかしい、と感じますねえ。市民感覚でいうと。

 

懲戒とするなら、計算の基礎金額をいじっても、さほど大きな影響はないと言いたい。

退職金は、生活資金というか基本的な生活を支えるための収入ではなく、退職までの功労をお金にしたもの。

それが、セクハラ事件ひとつだけで減らされる、というのはちょっと違うと感じる人も少なくないでしょうが、あくまで功労なのですよね。

「これまでよく頑張ってくれました」

ですよ。

だからこそ、賞罰では、その程度によってしっかり上下させるべき。

 

 

一方、月額給与は、生活を支える収入なので、大胆な削減はNG。

労働基準法でも減額の幅は制限されてます。