新米管理職が書き綴る人事労務の仕事の毎日

管理職・マネージャーになりたて、あるいはこれから管理職を目指そうという方に向けて、現役管理職のわたしが経験談を中心に参考になる話をします。

日大には「危機管理学部」があるそうです。

驚くことに、日本大学には危機管理学部があるそうです。ぜひ、学んでみたいなあ、と思います。

今回の悪質タックル問題とは別に。いや、まじで。

 

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1.危機管理の仕事

 

わたしが社会人になったのが約30年前。

そのときから総務を担当してましたが、その頃は危機管理(もしくはリスク管理)という仕事はありませんでした。

将来起こる可能性のある災害や事故、従業員のトラブル、事業停止や事業継続が困難になる事象をあらかじめ把握しておき、それらが起こらないように常日頃から策を講じて実行しておく。

あるいは、事故等が起きたら、その影響が最小限で収まるよう対応する。

 

危機管理とはこんな仕事ではないか、と思います。
企業によってはもっと広義の捉え方もしているかもしれません。

 


2.危機管理業務の担当はどこがやる?

 

危機管理の業務は誰がやるのか。
一般的には総務等が行います。

 

企業によって違う場合もあるでしょう。
たとえばメーカーだったら製造関連業務が事業の中心でしょうから、製造部などが行うケースもあるでしょう。

 

ただ、リスクには様々な想定が必要になりますので、事業場や企業全体を横串にする立場としては総務部門が適していると思います。
あるいは、危機管理を専門に行う部署の設置も考えられます。


そして、最も大きな役割、あるいはリスクが大きく広がらず、最小限におさまるために重要な役割を果たさなければならないのが、広報部門です。

企業等が社外、外部との接点、コミュニケーションをはかる場です。
ここでの初動対応が、リスク管理の最重要といっても過言ではないと思います。

 

 

 

3.日本大学の危機管理はどうだったか

 

このたびの不正タックル問題に関して、日本大学の危機管理はどうだったでしょうか。

結論から申し上げるに、最悪だったと言えます。

 

今回のトラブルで、日大が最優先でやるべきことは何だったのでしょうか。
わたしは、学生の保護だと思います。

 

誰がどうしたことで不正タックルが生まれたのかの追求はもちろん大事でしょうが、トラブルが発生してからの細々した対応、マスコミに対するアナウンスなどの行動は、学生を守ることを主眼に進めるべきだったと思います。

 

というのも、タックルをした学生は20歳。成人しているとはいえ、まだ社会には出ていません。これからの人生も長い。

そもそも大学は、保護者から子どもを預かり、教育、育てる場所。
アメフット部(「雨吹っ飛ぶ」と返還されてしまうんだよなあ)を勝たせることだけが是ではないでしょう。

アメフット部の勝利と学生の教育・保護をてんびんにかけたら、教育機関の本分である後者を選択せねばならない。

しかしながら、日本大学、前監督、コーチ、広報、記者会見の司会者らは、すべて大学、あるいは自己の保身に走り、話のつじつまが合わなくなる失態を演じている。

しかも、それらの対応に不信感を抱いたのか、タックルの加害者の学生は、顔をさらし実名をさらし、誠実に自分が語れることをじっくり語った。

 

そもそも記者会見の司会進行が炎上を招くて、どういうこと? 笑けます。

 

日大と加害者、見事なくらいに対応の良し悪しが異なるものでした。

 

 

4.関西学院大学の対応は

 

ひるがえって、被害者のクオーターバックの選手が所属する関西学院大学側はどうだったでしょうか。

不正タックルというプレイの抗議、日大側への対応の要求、記者会見でのやりとり。
スポーツそのものへの危機感、そして学生を守る方向に徹しています。学生とは、自校の学生だけではなく加害者である日大の学生をも、配慮し、守ろうとしている姿勢。

これまた、日大の対応とは正反対のものでした。

 

 

5.管理職の危機管理は

 

企業における危機管理を考える際にも、総務、あるいは広報の対応は重要です。

 

さらに、日常の業務のマネジメントにおいても、管理職の危機管理の役割は重要です。

 

業務の継続を妨げる要素はどこにあるか、事業が継続できなくなるリスクにはどんなものがあるのか、天候、政治・政局、災害、海外の紛争・戦争などなど挙げればキリがないですが、ミクロでみると、労働時間管理、部下の体調、職場環境、人間関係、自分自身にハラスメントの要素は無いか等、常日頃から気を配ることだらけです。

 

あ、日大アメフト部の内田正人前監督、井上奨前コーチの発言や日頃の管理はパワーハラスメントそのものですね。

 

 

6.日大、関学のどちらの部下が幸せか

 

アメフット部の事件を企業に置き換えてみると。

 

部の選手たちが企業の部下としたら、どちらの上司たちが優れた上司でしょうか。

言わずもがな、関西学院大学ですね。

 

日大は、宮川泰介君という立派な学生を育てましたが、奇しくも教える側の立場の連中はダメダメだったという。

 

 

日本には、他にも危機管理学部が存在するらしい。

 

日大と加計学園とは。

まさに悪質タックル事件は、日本の縮図ですねえ。

 

 

 

今回の日大の失敗は、就活生、OBOGへのブランド低下の影響、そして入学しようと志望する生徒が少なくなるであろう損失を生みました。

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