学歴フィルターは存在するのか、元採用担当者が答えます
「学歴フィルター」という言葉が存在するのだそうです。
どういうものかというと。
会社説明会などに参加したい学生が、ウェブサイトから申し込む。
いつも満員なので、別の企業で申込開始日時直後に申し込んだ、がそれでも満員と表示された。
そこで、自分の大学よりも偏差値の高い有名大学の大学生として申し込んでみるとOKとなる、といった現象。
この会社では、申込者の学歴で受け付けるか否かのフィルターがかかってコントロールされているのではないか、という話です。
なるほど、フィルターがかかっていると学生が不安になっても不思議ではない現象ですね。
1.学歴フィルターはあるのかないのか
結論めいたことを先に書きましょう。
学歴フィルターはあるのか、ないのか。
答えは、
- あるかもしれないし、ないかもしれない。
- 少なくとも、わたしの会社(が属する企業グループ)では、学歴フィルターはありません。
ということになります。他社のことはわからないので、断言はできません。
玉虫色的な回答ですいません。
2.うちの会社では
その昔、わたしが採用を主担当としてやってた頃、学歴だなんだと言っておられず、とにかくより多くの応募者を集めることに必死でした。ですので、学歴でフィルターをかける余裕はとてもありませんでした。
人口がさほど多くない地域でしたので、学生を集めることが優先。
もし学歴フィルターが実際に存在するとすれば、それをやっているのは(orやれる余裕があるのは)学生が多く集まる超有名企業なんでしょう。
選り好みができてうらやましい限りです。
3.結果的には高学歴が残る
前項とは違う時期、全国から応募された書類選考や面接のお手伝いの立場だった頃のことです。
大学名を隠してエントリーシートの書類選考をやってました。
選考を通過した(合格した)学生のエントリーシート、ふたをあけたら、いわゆる六大学とか有名高学歴の大学の学生ばかりになってしまうんですよね。
同じことを面接でも経験しました。
ただ、2行しか書いてないエントリーシートに出合ったときにはびっくりしました。
「学生時代に一番記憶に残っていること:彼女に結婚のプロポーズをしたこと」
仰天しました。
4.より多様な人材のために学歴を問わない
前項で書いたとおり、高学歴の学生が残る傾向はあります。
学歴が高いから「残す」、というよりエントリーシートの内容が優れていると思わせるものを書いているのは学歴が高いというか偏差値の高い学生なんですよね。(あくまでエントリーシートに書いてあることが事実であれば、という前提ですが)
文章の書き方はもちろん、書いてある内容も、努力とかトライ&エラーして充実した学生生活を送った、会社に入っても活躍してくれそうだと感じさせます。
偏差値が高い学生は、努力するとか、チャレンジする姿勢を持つとか、現状に甘んじることなく生きている、と感じさせるんですよね。
だから、どうしても偏差値が高い学生が残る傾向にあるのは事実だと思います。
とある時代、うちの企業グループは「より多様な人材を集める」ということで、全国のなるべく多くの「種類の」大学からの応募者を集めるように活動しました。
実際に採用する学生も、より多くの大学出身者が集まるようにしていました。
具体的には、応募人数が多くなりがちなメガな大学や六大学などは書類選考で一定の数におさえ、全国各地の大学生を残すということをやったり、面接日をたとえば2月1日は東京六大学、2月2日は西日本の大学などというように同じ大学を集め、しかも、2月1日から合格者10名、2月2日からも10名というように、より多くの種類の大学が残るようにコントロールしていたこともありました。
結果的に、個性豊かな人材が集まり、当初の目的は達成できたと思います。
このようなコントロールはあってしかるべきとわたしは感じますが、こんな運用がもしかしたら「コントロールされている」あるいは「フィルターがかかっている」と思わせる現象を起こしているかもしれない、とも自省した次第です。
高学歴、偏差値の高い学生だけ集めているようでは、変化の激しい現代、そして未来に向かって、活き活きと企業運営するのは難しい時代なのではないでしょうか。
どんな大学であれ、同じ大学の卒業生だけで成り立つ職場は気持ち悪いです。コピー人間、クローン人間か?とツッコミを入れたくなる、低偏差値大学卒業のわたしでした。
編集後記
わたしが低偏差値大学出身だからといって、高学歴大学出身者へのひがみで書いた記事ではありません。念のため。