新米管理職が書き綴る人事労務の仕事の毎日

管理職・マネージャーになりたて、あるいはこれから管理職を目指そうという方に向けて、現役管理職のわたしが経験談を中心に参考になる話をします。

過労死は誰の責任か:田端氏の過労死ツイートが炎上中

タカアンドトシのトシにそっくりな、ZOZOTOWNの田端信太郎氏の過労死ツイートが炎上してます。

 

 

上のツイートの引用は、田端氏のツイートに対する山崎雅弘氏のコメントです。

 

田端氏のツイートは、上記以外にもたくさんあり、そのツイートへの返信やメンション、BLOGOSでの記事などいろいろあり、全体を見渡していただくのがいいと思うのですが。

 

blogos.com

 

わたしの率直な感想は、冒頭の山崎雅弘氏のツイートそのものです。

 

 

田端氏の主張は「過労死は自己責任、会社側に責任はない」というもので、その後、弁護士やその他の方々のツイート合戦の後、徐々にトーンを落としてます。最初の頃には「雇い主側に責任があるのなら、殺人罪に問われないのはなぜか?」などとツイートされてます。

 

いうまでもなく、過労死は完全に自己責任、というわけではなく、どちらかといえば雇い主側に責任があります。

そもそも残業というのは、労働基準法上、管理監督者(いわゆる管理職、あるいはリーダー、上司など)が労働者(メンバー、部下)に命じて行われるものです。だから、残業過多=過労というのは会社側が惹起しているものです。

 

でも現実的にはそうでもないこともあります。部下自身が自発的に、

 

  • 自分の仕事が所定労働時間内で済ませられないから
  • 仕事の出来をもっと良くしたいから

 

などなどの目的で行われることもあります。

 

しかしながら、この場合でも、管理監督者には部下の健康管理の義務があり、会社側には安全配慮義務があります。

 

労働契約法第5条では、「使用者は労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」として、使用者が労働者に対して負うべき労働契約上の付随義務を定めています。これを「安全配慮義務」と呼びます。使用者がこの義務を怠り、労働者に損害が発生した場合、使用者は労働者に対して損害賠償責任を負うことになります。

日本の人事部より

 

また、仕事に一生懸命になる、ハラスメントで残業をしないではいられない状況にある、会社から仕事のレベル向上を強要されている等の状況にいる労働者は、逃げればいい、残業を断ればいいなどといったことができません。

 

「過労死のほとんどは、自分で自分に危険タックルしてるようなもんです。」

田端氏のツイート

 

自らの意思でタックルしているわけでは必ずしもない。それこそ、監督の強圧的な施政のもと、監督の言葉を妄信的に受け止め、行動しているのであって、同義的な責任は圧倒的に企業側、使用者側にあります。

 

世の管理職のみなさん、あるいはこれから管理職を目指そうというみなさん、くれぐれも残業は法律上「管理監督者側が労働者に命じる」ことになっており、安全配慮義務があるということを覚えておいてください。

 

 

自殺した社員の葬儀に参列したときの気持ちを思い出した

昔の話です。自殺した社員の葬儀に参列しました。

その時のことを今さらながら、というか今だからこそ思い出しています。

 

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1.自殺した社員

正確には、その社員はわたしが勤務する会社ではありませんでしたが、資本関係のある企業グループとしては同じで、少なからず関係はありましたので、参列することとなりました。

 

その社員は自殺だったとのこと。川にかかる橋の下にて遺体が発見されたとのこと。また遺書も発見されました。

ただ、遺書の内容は会社側には知らされませんでした。仕事のことだったのか、会社の何らかの対応が悪かったのか、私生活に原因があったのか。

 

警察は、直近の労働時間や仕事の負荷、上司との関係はどうだったのか、その他人間関係はどうだったのか、その社員が勤務する職場の総務課がヒアリングを受けたようです。

その結果、事件性はなく、また会社側にも何かを問われることはなく警察は自殺と断定したようです。 

 

 

2.密葬に参列させていただいた、そのときのわたしたちの気持ち

その社員の葬儀は密葬にする、とのご遺族の意向でしたが、社長がぜひとも参列させていただきたいとの希望をご遺族に伝えたところ、ご了承いただきました。

わたしも参列することとなりました。

 

その時点では、遺書の内容は会社側には明らかになってませんでした(今でも明らかになってません)。ですので、わたしは葬儀の参列が怖かったです。

というのも、故人の配偶者、あるいはご子息が「お前らのおかげでお父さんは死んじゃったんだぞ!」と怒鳴られたりするんじゃないか、とヒヤヒヤだったからです。

 

密葬への参列を認めていただいていたので、ある程度の安心はあったものの、遺書の内容がわからないのは事実。何を言われるのか、わかりませんでした。

 

結局、葬儀の場で心配していたことは起こりませんでした。奥様からご挨拶もいただきました。

葬儀の場でご挨拶をいただくことがこんなにありがたいことなのか、と感じた日でした。

 

 

 

 

3.大丈夫か?、彼ら

電通の高橋まつりさん事件、モリカケ事件で亡くなった近畿財務局職員の件、その他長時間労働やハラスメントなどで自死に至った事件で、謝罪とかしかるべき対応をしていない加害者側の責任者らは大丈夫でしょうか。

 

裁判で敗訴して賠償金などを課されているケースなどもありますが、ちゃんと対応してるんでしょうか。長時間労働が発生しないような根本的な対応をしているんでしょうか。

 

比べるレベルの話じゃないですけど、上に書いた葬儀のときは、わたしやわたしの上司・経営トップは

 

会社側に非はないのか、ご遺族に非難されるだろうか、どうなんだろうか。あったとしても無かったとしても会社として弔慰を示そう

 

という心情でした。

自分の会社、組織に勤務していた人物を亡くしているんです。

彼らは少しでもそんな意識を持っているんでしょうか。何も思わないんでしょうか。

 

飛躍しすぎかもしれないし、考え過ぎかもしれませんが、

日大の不正タックル事件で死者が出ないことを祈ります。

なにか悪いことが起きる前に(すでに起きてはいますが)、日大がしかるべき対応をしてほしいと願っています。

 

【追記】

人の死を軽んじる、残念なニュース

www.kobe-np.co.jp

 

 

 

 

 

 

日大には「危機管理学部」があるそうです。

驚くことに、日本大学には危機管理学部があるそうです。ぜひ、学んでみたいなあ、と思います。

今回の悪質タックル問題とは別に。いや、まじで。

 

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1.危機管理の仕事

 

わたしが社会人になったのが約30年前。

そのときから総務を担当してましたが、その頃は危機管理(もしくはリスク管理)という仕事はありませんでした。

将来起こる可能性のある災害や事故、従業員のトラブル、事業停止や事業継続が困難になる事象をあらかじめ把握しておき、それらが起こらないように常日頃から策を講じて実行しておく。

あるいは、事故等が起きたら、その影響が最小限で収まるよう対応する。

 

危機管理とはこんな仕事ではないか、と思います。
企業によってはもっと広義の捉え方もしているかもしれません。

 


2.危機管理業務の担当はどこがやる?

 

危機管理の業務は誰がやるのか。
一般的には総務等が行います。

 

企業によって違う場合もあるでしょう。
たとえばメーカーだったら製造関連業務が事業の中心でしょうから、製造部などが行うケースもあるでしょう。

 

ただ、リスクには様々な想定が必要になりますので、事業場や企業全体を横串にする立場としては総務部門が適していると思います。
あるいは、危機管理を専門に行う部署の設置も考えられます。


そして、最も大きな役割、あるいはリスクが大きく広がらず、最小限におさまるために重要な役割を果たさなければならないのが、広報部門です。

企業等が社外、外部との接点、コミュニケーションをはかる場です。
ここでの初動対応が、リスク管理の最重要といっても過言ではないと思います。

 

 

 

3.日本大学の危機管理はどうだったか

 

このたびの不正タックル問題に関して、日本大学の危機管理はどうだったでしょうか。

結論から申し上げるに、最悪だったと言えます。

 

今回のトラブルで、日大が最優先でやるべきことは何だったのでしょうか。
わたしは、学生の保護だと思います。

 

誰がどうしたことで不正タックルが生まれたのかの追求はもちろん大事でしょうが、トラブルが発生してからの細々した対応、マスコミに対するアナウンスなどの行動は、学生を守ることを主眼に進めるべきだったと思います。

 

というのも、タックルをした学生は20歳。成人しているとはいえ、まだ社会には出ていません。これからの人生も長い。

そもそも大学は、保護者から子どもを預かり、教育、育てる場所。
アメフット部(「雨吹っ飛ぶ」と返還されてしまうんだよなあ)を勝たせることだけが是ではないでしょう。

アメフット部の勝利と学生の教育・保護をてんびんにかけたら、教育機関の本分である後者を選択せねばならない。

しかしながら、日本大学、前監督、コーチ、広報、記者会見の司会者らは、すべて大学、あるいは自己の保身に走り、話のつじつまが合わなくなる失態を演じている。

しかも、それらの対応に不信感を抱いたのか、タックルの加害者の学生は、顔をさらし実名をさらし、誠実に自分が語れることをじっくり語った。

 

そもそも記者会見の司会進行が炎上を招くて、どういうこと? 笑けます。

 

日大と加害者、見事なくらいに対応の良し悪しが異なるものでした。

 

 

4.関西学院大学の対応は

 

ひるがえって、被害者のクオーターバックの選手が所属する関西学院大学側はどうだったでしょうか。

不正タックルというプレイの抗議、日大側への対応の要求、記者会見でのやりとり。
スポーツそのものへの危機感、そして学生を守る方向に徹しています。学生とは、自校の学生だけではなく加害者である日大の学生をも、配慮し、守ろうとしている姿勢。

これまた、日大の対応とは正反対のものでした。

 

 

5.管理職の危機管理は

 

企業における危機管理を考える際にも、総務、あるいは広報の対応は重要です。

 

さらに、日常の業務のマネジメントにおいても、管理職の危機管理の役割は重要です。

 

業務の継続を妨げる要素はどこにあるか、事業が継続できなくなるリスクにはどんなものがあるのか、天候、政治・政局、災害、海外の紛争・戦争などなど挙げればキリがないですが、ミクロでみると、労働時間管理、部下の体調、職場環境、人間関係、自分自身にハラスメントの要素は無いか等、常日頃から気を配ることだらけです。

 

あ、日大アメフト部の内田正人前監督、井上奨前コーチの発言や日頃の管理はパワーハラスメントそのものですね。

 

 

6.日大、関学のどちらの部下が幸せか

 

アメフット部の事件を企業に置き換えてみると。

 

部の選手たちが企業の部下としたら、どちらの上司たちが優れた上司でしょうか。

言わずもがな、関西学院大学ですね。

 

日大は、宮川泰介君という立派な学生を育てましたが、奇しくも教える側の立場の連中はダメダメだったという。

 

 

日本には、他にも危機管理学部が存在するらしい。

 

日大と加計学園とは。

まさに悪質タックル事件は、日本の縮図ですねえ。

 

 

 

今回の日大の失敗は、就活生、OBOGへのブランド低下の影響、そして入学しようと志望する生徒が少なくなるであろう損失を生みました。

www.yomiuri.co.jp

 

 

診断書にアルコール依存性の記載がなかった話はどう解釈するか

 

TOKIO山口達也さんの事件をもう広げようとは思いません。

被害者のご親族もそういう主旨のことを望んでおられたとのことでしたし。

 

 

 

 

ただ、総務・人事の仕事を担当しているわたしからすると、放っておけないと感じる話がありましたので、それだけは触れておきたいと考えての記事です。

 

 

1.「診断書に書かれていれば」

山口さんをのぞくTOKIOのメンバーが、記者会見をしました。

そこで、こんな主旨のやりとりがあったそうです。

 

  • (山口さんの)診断書に、アルコール依存症という記述がなかった
  • 記載があったら、それなりの対応をできていて、今回のようなことは起きなかったかもしれない

 

表現や実際のしゃべり、誰が言ったか等はわかりませんが、こんな意味合いだったと思います。

素通りできないと思ったのは、この話です。

 

 

2.アルコール依存症だったら助かったのか

アルコールに関する不祥事(的なものも含め)が多かったらしき山口さん。なのになぜ医者の診断書には「アルコール依存症」がなかったのか。

ネット媒体で読んだ記事では、山口さんの病名は「双極性障害」(昔の表現では「躁うつ病」)だそうです。

双極性障害だから、アルコール依存症とは書かれていなかった、ということだそうです。

 

アルコール依存症だったら助かったのか。

アルコール依存症」と診断書に書かれていたら、医者はそのための処置、治療を施し、また医者ではない周囲は、「お前はアルコール依存症なんだから、酒を慎め」とアドバイスしたり、アドバイスまではいかずともその人物に注目し、お酒との関わりをチェックするといったことができたでしょう。

 

しかし、あくまでわたしが読んだ記事が正しければ、ですが、双極性障害だったら大変だったでしょう。一筋縄ではいかない、というか。

 

それがわかっていたから、TOKIOのみんなは「アルコール依存症と書いてあれば」、あるいは「双極性障害ではなくアルコール依存症だったのなら、まだ助かったかも」と思ったのかもしれません。

 

 

3.双極性障害にはどう対応する?

アルコール依存症じゃなかった、では双極性障害だったら、どう対応するのか。

これはもう、医者・医療関係者じゃなければ対処できないレベルの深刻さでしょう。

メンタル不全という程度であれば、まだ、医者じゃなくても救いようがあると思うのですが(それでも程度によるとは思いますが)、双極性障害との診断となると厳しいでしょう。(これも程度によるとは思います。)

 

 

アルコール依存症双極性障害、それらは完全に区別されたものじゃないでしょう。アルコール依存症のみの患者、双極性障害のみの患者、両方を患っている患者。

 

どちらかの障害がどちらかの障害を発症させる場合もあるかもしれません。

 

 

4.アルコール依存症を自覚しよう

 

これは、わたし自身への戒めでもあります。

医療関係者から聞いたことがある、アルコール依存症の定義です。

 

自分の意志でアルコールを飲まない、と決められないなら、依存症の第一段階

 

という話。

 

「今日は車の運転があるから、酒は飲まない」のは当たり前。

車の運転などお酒を飲んじゃいけないといった事情がない状況であっても「今日は飲まない」と決断し、飲まないという実践ができないとダメ、ということ。

 

「あれ、やばいな」

と自覚された方、まだ間に合います。今から、この意識・実践を重ねていけば依存症にならずに済むのではないでしょうか。

 

 

 

福田氏の退職金減額の考察

民間企業でいうところの「就業規則違反」に該当する事案が頻発している世情です。

 

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福田前事務次官の退職金減額

 

財務省福田淳一・前事務次官

セクハラが事実だったと財務省は認め、処分するとしました。

 

その内容は「減給20%、6カ月の処分相当」ということだそうです。

その結果、退職金は5319万円から141万円を差し引き、5178万円になるんだそうです。

 

この結果、はてな? ですよね。

20%減給なのに、5000万円のうちたったの140万円が差し引きですかって。

5000万円の20%は1000万円ですが・・・って。

 

多分、この計算の根拠は、退職金そのものの20%減ではなく、退職金を計算する基となる金額(退職金算定基礎給。以下、TSQと略す)の減額なのでしょう。

TSQはざっくり言えば、月額給与に相当するもの。なので、それが20%減給されたとしても、過去のTSQの累積と、処分を受けた6ヵ月のTSQを合算したら、退職金総額では140万円ほどの減額にしかならない、という計算なのではないか、と想像します。

 

 

これが民間企業の感覚ではどうか、というと非常識と感じます。

というのも、民間企業では、就業規則違反での処分では、退職金そのものの減額を行うはずです。

 

懲戒解雇では100%減額、支給はされないということです。

諭旨解雇、つまり自己都合退職と同等の扱いだったとしても、一般的な自己都合退職とは同じではないはずです。一般的な自己都合退職の場合の退職金に対し、20%減額とか50%減額とかするんじゃないでしょうか。

TSQの減額では、最終的な退職金の計算にはほとんど影響しない。

 

これはおかしい、と感じますねえ。市民感覚でいうと。

 

懲戒とするなら、計算の基礎金額をいじっても、さほど大きな影響はないと言いたい。

退職金は、生活資金というか基本的な生活を支えるための収入ではなく、退職までの功労をお金にしたもの。

それが、セクハラ事件ひとつだけで減らされる、というのはちょっと違うと感じる人も少なくないでしょうが、あくまで功労なのですよね。

「これまでよく頑張ってくれました」

ですよ。

だからこそ、賞罰では、その程度によってしっかり上下させるべき。

 

 

一方、月額給与は、生活を支える収入なので、大胆な削減はNG。

労働基準法でも減額の幅は制限されてます。

 

 

 

財務省の事務次官辞職を総務の中の人はどう感じたか

このたびの財務省、事務方トップの福田淳事務次官の辞職は、世間の耳目を集めました。

この騒動、総務の目から見た感想を書かせていただきたいと思います。

総論から先に言うと、きわめて奇異な対応だという感想です。

 

 

 

1.最初の、麻生太郎財務大臣の対応

 

jp.reuters.com

 

最初に麻生財務大臣が、

 

  • 「事実だとしたらアウト」
  • 「事実だとしても実績を踏まえればその一点をもって能力に欠けると判断しているわけでない。(現時点で)処分は考えていない」

 

と発言した対応について。

 

「事実だとしたらアウト」という認識は、そのとおりだと思います。

一方で、「能力に欠けると判断していない、処分しない」との発言、認識は、サンドウィッチマン富澤たけしのギャグ「ちょっと何言ってるか、わかんない」ですね。

 

この発言を別の表現で表すなら、

  • 「セクハラしたって、優秀だし、これまでの仕事の功績は評価に値するから、罰する必要はない」

ということになります。
こんな認識はありえないんじゃないでしょうか。

 

セクハラ、パワハラ、果ては飲酒運転、その他違法行為など、コンプライアンスに反する言動で、就業規則その他のルールにのっとり罰するのが必要であります。極論、“優秀なら何やっても罰しない”という話になってしまいます。

 

2.財務省の対応

 

www.sankei.com

 

セクハラの証拠としての音声が公開されたこと、その対応としての財務省(麻生大臣)の対応について。

 

  • 「名乗り出てもらわないと、音声のやりとりの事実が確認できない」
  • 「第三者の弁護士にやってもらう」

 

との発言と対応の方針。これまた、普通なら考えにくい対応です。

 

ハラスメントの被害者が名乗り出るのはかなり困難なことであり、むしろ被害者の個人情報、人権は最優先で守られなければならない。


通常、民間の企業の例で言えば、中立の立場になる部署(たとえば人事部、総務部など)が、個別に双方の言い分を聞き、事実か否かを判断するということをします。が、麻生大臣の方針は、「加害者の上司が被害者に出てこい」と言っているものです。もし出てきたとして、そこでは被害者がさらなるいやがらせ、不快な気分を感じるのは間違いなく、二次被害が発生します。

そういう意味で、「第三者の弁護士」という選択肢はないこともないでしょうが、被害者側も仕事として、取材活動の一環の中で起きたことですので、被害者の所属する企業(今回の場合だとテレビ朝日)が被害者を代表して対応すべきです。

 

3.福田次官の対応

(1)辞職

福田次官の辞職。

望ましい姿としては、上司である麻生大臣による更迭だったのではないか。

 

民間企業でいうと、就業規則違反で解雇の処分があります。

その場合、懲戒解雇なのか諭旨解雇なのかの2種があります。

前者が有無を言わさず解雇、後者は退職願を書かせて解雇、つまり自ら退職を申し出る、という形です。

 

セクハラであれば、ことの深刻度合いにもよりますが、民間企業では懲戒解雇までは至らないのではないか、というのがわたしの感想です。なので、自己都合退職でもよかったかもしれませんが。

かたや今回の事件は、財務省事務次官という、官僚のトップ、事務次官のやらかしたこと。社会に対する影響度も大きいことからすると、解雇(更迭)でもよかったかもしれません。

 

(2)否定

音声データが公開されてますが、福田次官は「(音声データは)一部しかとっていない。全体を見ればセクハラに該当しない」と否定しました。

 

加害者側の「セクハラに該当しない」というのは、一方的だと思います。

ハラスメントというのは、加害者側がどう思っていようと被害者側がそう感じたらハラスメントが成立する、というたぐいのものです。

 

マスコミ、という独特の世界であるとはいえ、福田事務次官が発した言葉は、聞くに堪えない言葉の連続でした。よくこれで、「ハラスメントにはあたらない」と言えたもんです。相当の度胸の持ち主ですね。

 

 

ハラスメントとは少々異なりますが、コンプライアンスを考えた場合、よく言われるのが「それを家族に話しても、問題ないと言えるか、自問自答せよ」というのがあります。

福田事務次官が、自分の言動を家族に話せるでしょうか。話せないでしょう(と思いたい)。だとすると、彼がテレビ取材を受けて「ハラスメントにあたらない」と応えるのは、彼自身も受け入れられないのでは。そう考えると、彼の家族の心中を察してあまりあります。

 

www.jiji.com

 

こんな記事が出ました。今更感の満腹ですが、ひっそりとやるよりは反省したという姿を(恥ずかしい程度ではありますが)表に出すことは悪いことではありません。

他の省庁も従わざるを得ませんし。

 

 

福田事務次官は裁判はやる、と屈していないようですけど、果たしてどうなるのか。

 

今回の事件は残念なことですが、セクハラに対する、より多くの世間の方々の意識が変わればと願います。

 

 

 

仏(フランスじゃないよ)もだまっちゃいられない安倍政権のひどさ:総務として

福田淳事務次官が複数の女性記者にセクハラ発言をしていた件で、麻生太郎財務相は厳重に注意したらしく「事実ならアウト。今の時代では明らかにセクハラだ」とも発言していますが、

 

「今の段階で処分を考えているわけではない」

 

とのこと。

 

様々なハラスメントでがんじがらめ(悪い意味ではありません)な民間企業では考えられません。

www.huffingtonpost.jp

 

 

その一方で、前川喜平前文科事務次官の出会い系バー出入り(単なる享楽ではない目的のため)について、菅官房長官は「国家公務員というのは国民全体の奉仕者であって、公共の利益のために勤務し、かつ職務の遂行にあたっては全力でこれに専念しなければならないと思っている」と指摘してます。

www.sankei.com

 

前者は今年の話、後者は昨年の話で時間的にズレはありますが、同じ政府の人物たちの言葉です。

 

聞いてて恥ずかしくなりますね。総務の人間として、あるいは彼らが我が国の政府であるということについて。

 

まあ、麻生太郎菅義偉両氏の上司にあたる安倍晋三氏が、↓ こんなアフォな答弁をしているとこから

 

察するに余りある

 

ではありますが。以下のブログ、必見です。

 

ameblo.jp