新米管理職が書き綴る人事労務の仕事の毎日

管理職・マネージャーになりたて、あるいはこれから管理職を目指そうという方に向けて、現役管理職のわたしが経験談を中心に参考になる話をします。

セブンイレブンの残業手当未払いは深刻な話だぞ、無視してはいけない

セブンイレブンが残業代を支払ってなかった、というニュース。

これ、深刻だぜ。

 

 

www.nikkei.com

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53154780Q9A211C1MM0000/

 

 

1.直接払の原則

 

 

 辰巳孝太郎議員の指摘のとおり、賃金は直接払いの原則があります。

 雇用主が従業員に給料を直接支払わなければならない、ということ。

 

そんなの当たり前でしょ!

 

と多くの方々が思うことでしょう。

そう、当たり前です。

が、そうじゃなかった時代があって、直接払いの原則が労働基準法に盛り込まれたのです。

 

セブンイレブンの場合、元記事によると、給与計算を代行しているとのこと。

 

  • 雇用主:オーナー
  • 被雇用者:コンビニの従業員(今回の被害者)

 

法律はオーナーが従業員に支払うべき、と定義しているわけですが、セブンイレブンが代行していた・そのセブンイレブンが支払ってなかった、という事象です。

 

 

2.未払いは1970年代から・・・

 

元記事の全文がわからないのですが、1970年代から残業代が支払われていなかった可能性がある、と書かれています。

 

ウィキペディアによると、セブンイレブンジャパンは1973年に設立、とのこと。

「未払いは1970年代から」が事実なら、設立当初、あるいは設立直後の頃から支払われていなかった、ということになります。

 

 

給与計算に少しでも携わった方なら簡単に想像がつくと思うのですが、1970年代の給与計算システムがそのまま残っているとは思えません。

そもそも当時に、コンピュータとかで計算していたとは思えませんが

 

 

設立当時は給与計算すべき人数が少なく、手計算でも間に合っていたかもしれませんが、現代ではどうでしょうか。セブンイレブンが代行し、給与計算すべき対象者は何人でしょうか。とても手計算はできない。

 

設立から現在まで、給与計算の方法、コンピュータ、ソフトウェアは代替わりしているはず。そこで残業代の計算ミスが発見されなかったわけがない。

当初からセブンイレブンは残業代を支払わないつもりだった、と考えざるを得ない。

 

 

news.tbs.co.jp

 

 

ニュースの詳細がわからないので思い込み(アンコンシャス・バイアス)があると良くない。今回の計算のミス・未払いの中身がなんなのかもはっきりしません。

セブンイレブンに一所懸命忖度すると。

 

  • 労働基準法に定められた法定内残業の割増率はちゃんと払っていた(セブンイレブンの賃金規則は法律を上回っていた)可能性
  • 法律が定める「残業」は、1日あたりだと8時間を超える労働時間だが、8時間を超えない範囲の残業代は支払われていた

 

等などあるかもしれません。

 

 

が、それでも、労働基準監督署が指摘していた・長年に渡って続いていたなどの状証拠から察すれば、違法のレベルだったのだろう。

それは確実でしょうね。

要は、

 

セブンイレブンは、法律上支払うべき賃金を支払ってなかった

 

ということでしょう。

 

 

 

セブンイレブンは、記録に残っている未払い以前のものも支払う・なんらかの対応をする、今後の給与計算・ガバナンスをちゃんとしたものにすべし、等など宿題は多いです。

 

もちろん、セブンイレブン以外のコンビニも、同じ事情があるとすれば改善すべきです。

 

 

 

支払うべき賃金を支払っていなかったのは、ブラック企業はもちろん、それよりなにより法律違反です。

 

憲法をまもるべきなのに、まもろうともせず、改正をしたがっている安倍首相も法律違反です。

 

 

3.参考

 

労働基準法が定める、賃金に関する原則ですが。

三原則と五原則があります。

最も基本である三原則は、

 

  • 直接、本人に支払う
  • 通貨で支払う
  • 全額を支払う

 

という3つです。

 

説明したいのはヤマヤマですが、長くなったのでとりあえずはここまで。

 

 

 

 

 

偏差値は人の価値をはかるメーターではない、いや寧ろ偏差値と人の価値は反比例もある

【追記】2019/12/04

重要なことを書き忘れていました。最後部に追記しました。

 

入試で、より高い偏差値の学校にはいろうと、勉強に必死の学生(と親)に悪いのですが、偏差値が高い=人の価値が高い、とはいえないことがあります。

 

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偏差値についての、人事労務担当者の風景 3選です。

 

 

 

1.これまで一緒に仕事した東大の人物たち

 

偏差値と言えば、東大。(というのが浅はかなわたしのイメージ)

 

わたしのこれまでの社会人人生の中で、東大卒の人と接することがありました。

同じ職場、同じ会社、社外の友人・・・。

数えてみると、片手(5人)かな。

 

どの方もすべて素敵な方々でした。以下の項目が共通しています。

 

  • 頭がいい、切れる(「キレる」ではありません。仕事ができるという意味の「切れる」です)
  • 魅力的(簡単な言葉では説明がつかない ※記事の最後の方に若干触れます)
  • 物事に真剣に取り組む(仕事に限らず、遊びにもとことん前のめり)

 

東大はガリ勉、バランスに欠ける等などの先入観・偏見(アンコンシャス・バイアス)をそれまでは持っていた時期もありましたが、彼ら彼女らに出会ってからはいい意味でものの見方が覆されました。

 

わたしは恵まれていました。少なくとも、この彼ら彼女らは

偏差値が高い=人間的な魅力が満載

です。

 

★追記★ 2019/12/04

最後の方に追記しました。このうち1人は「なんだかなあ」な行動をした人です。

 

 

2.職場にいる若い社員、Xさん

 

同じ職場にいるXさん。

この方も偏差値が高い学校を卒業されてます。

学部・学科によっては、東大を超えるのではないでしょうか。

 

この人物は、変わり者です。普通、常識が通じません。

 

例えば、昇格しよう、出世しよう、給与(賃金)を上げようと思うなら、仕事を頑張ると考えるのが普通ですよね。

でもこの人物は違います。

 

人事・労務の仕事をしているわたしに、

 

  • どうすれば出世しますか
  • どうすれば給与が上がりますか
  • 副業を認めてもらうには、どうすればいいですか

 

と相談してきます。

 

その相談がまっとうなものであればいいんです。

  • どうすれば出世するか⇒会社の評価する人物像はどんなものか、上に立つ人間に求められる要素はどんなものか?

という問いかけ、相談ならまだいいんですけど、

 

  • 管理職になるためには何をすればいいんですか
  • 出世はできないから、お金を稼ぐには副業しかないんですけど、どうすれば副業を認めてもらえますか

 

という、ズレた物の考え方しかできない。

 

違うだろ!

 

とキレたくなります(この場合のきれるは、プツンとキレた、の意味のキレたです)。

 

「ちーがーうーだろーっ!」とキレた国会議員を思い出しました。彼女は東大卒だったんですね。)

 

偏差値が高くても、こんな俗っぽい・幼稚な発想する人物がいるんだなぁ、と

 

 

3.シュレッダー見に行ったけど、官房長が許可せず

 

桜を見る会」で話題のシュレッダー。

安倍首相、菅官房長官が聞かれたことに誠心誠意答えればいいのに、それをしないもんだから野党がシュレッダーを調べに行く。

 

 

mainichi.jp

 

 

内閣府の官房長は、若い頃一生懸命勉強したんでしょう。

 

  • いい国を自分の手で作り上げる
  • 国民を幸せにする

 

といった崇高な思いで公務員になったんでしょうよ。

ところがどうですか、シュレッダーを調べに来た国会議員に

 

調べちゃダメ

 

ですよ。

そんなことをしたくて公務員になったわけじゃないんでしょうよ。

 

「国会議員がシュレッダーを調べに行ってる場合か?」

 

と憤るツイッターアカウントもありますが、アヘさんがちゃんと答えればやらなくてもいい仕事。

 

 

内閣人事局があるためなのか、本来の身動きをしない官僚。

桜を見る会にしてもモリカケにしても、国の姿や統治がおかしくなった日本の元凶は安倍政権ですが、それに対して矜持を見せて欲しい官僚。

 

そろそろ安倍政権という船は沈むでしょうから、いい加減、そろそろ船から脱出して、船長(安倍晋三)の呪縛から逃れたらどうですか、偏差値の高い官僚たちよ!

 

 

from 偏差値はさほど高くなかった、まともな発想で自由に生きていける環境に恵まれたサラリーパーソンより

 

 

【これまで出会った東大卒の魅力的な人物たち】

  • 非常に狭い範囲の、コアな分野のフェチなスケベ・・・とあるパソコンソフトの存在で盛り上がったんだけど、そのソフト、現代だったら持ってるだけで犯罪になるだろうなあ
  • 若手社員を集めて読書会開催。面倒見が良く、優しい人だったなあ
  • 二日酔いで、朝平気で遅れて出社する管理職・・・魅力的とは言えないんだけど、わたしを含む部下たちはあきらめて、遅刻することを前提に仕事してました。結局、彼は出世しなかったなあ

 

 

★追記★ 2019/12/04

上掲した東大卒の人のうちのひとりは、その官庁のナンバー3か4か5くらいまで昇進している人物です。

安倍政権に忖度し、存在する文書を存在しないと国会で答弁しました。

その人をそうさせてしまった根源は、屈折した政権運営安倍晋三内閣人事局の存在なのでしょうが、官僚としての矜持を見せてくださいよ!

 

 

 

 

 

人事総務の仕事では滅多に得したことはないけど

人事、労務、総務の仕事で得したことなんてほとんどないんですけど。

つい先日、「この仕事じゃないとこんなメリットないよな」ということがあったのをご紹介します。

 

 

産業医との雑談

 

産業医は、職場の巡視や従業員との面談、安全衛生委員会出席などを通じて、職場の労働衛生に関して専門的な立場から意見や提言などを行なう人です。

 

うちの会社の安全衛生委員会に出席されたあと、お帰りになるまでの5分間ほど、雑談をしました。

 

電磁波さん、体調どうかされたんですか?

 

マスクをしていたわたしに声をかけてくださいました。

 

もう風邪っぽい症状が10日くらい続いてるんですよ。熱はないんですけど、鼻ずるずる、のどが時々痛い、吐き気が時々する等々。インフルエンザの検査もいちおうして陰性でした。内科医いわく「風邪だろう、年も歳だから治りも時間がかかるからね」って診断だったんです。ただ、処方された薬を飲んでも良くなったり、悪くなったりを繰り返してて。食事の後や電車に乗っている時間に吐き気が出てきたり・・・。

家族みんなで風邪をリレーみたいに移しながら時間が過ぎてます。

 

そうですか。

それきっと、混合感染ていうやつでしょう。いろんなウイルスに次々と感染してるかも。

 

というアドバイスから始まり、わたしの細かい症状のことも聞いた上で、

 

抗生物質と解熱剤は飲まなくてもいい、という判断もありますよ。自然に治るレベルの状態ですし。むしろ、自然治癒力を邪魔してるかも。

朝ごはんを食べないという策もあります。栄養を摂るのが必要、というのはセオリーですけど、消化にエネルギーを回さずウイルスをやっつけるために食べ物は食べない、というものです。ケモノって、食べずにうずくまってジッとして、病気を治すという行動をしますけど、あれそうらしいですよ。

今どきの日本人って、平均的には栄養は十分あるんです。だから、「栄養をとる」ってことは、たとえ風邪のときでもあまり考えなくてもいいです。

 

 

この人は産業医であり、臨床のご経験はしばらくないようですが、短時間でいろいろとアドバイスをくださいました。

 

で、アドバイスのいくつか(薬を止めた、朝ごはんを少量にした)を実践した結果、ケロっと治っちゃいました。

 

この医師のアドバイスが全て正しいかどうかはわかりません。また、人によってもこのアドバイスがあてはまるかどうかもわかりません。

ただ、わたしには有効だったのは確かでした。

 

無料で、しかも信頼できる医師(長いお付き合いで、信頼できる医師ですし、先方も当社の労働衛生に対する姿勢に理解を示してくださってます)という方に、セカンドオピニオンをいただいたということになります。

 

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このときは、「人事労務の仕事してきてよかったなあ、ラッキー」と思ったもんです。

 

 

わたしが目指している、総務の仕事のありたい姿

総務って、ぞうきんみたいな存在でいたいよね
 
 

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いくつかの会社で総務の仕事をしている仲間たちと飲みながら、ふっとつぶやいた自分の言葉を、以下の記事を読みながら思い出しました。
(この言葉は後で詳述しますが、この記事の本題ではありません:なら書くなよってか、すいません、ふざけました)
 
 
 
どこもかしこもリストラ。
 
わたしも企業の一員、わからなくもないのが率直な感想です。
生き残るため、利益を出し続けるため。
そうでなきゃわたしも給料をもらえない。その選択が間違っていないならしょうがない。
 
 
が、乗り遅れる社員はどうしてもいます。
 
 
「働きアリの法則」ご存知でしょうか。
 
  • 集団は、2割の働きアリと8割の普通のアリで構成されている(あるいは2割の働きアリ+6割の普通のアリ+2割の怠けアリで構成されている)
  • 2割の働きアリが、売上の8割を稼いでいる
  • 2割の怠けアリを取り除くと、残りの集団が優秀になると思いきや、結局怠けアリは出現し2割+8割(もしくは2割+6割+2割)の集団になる
 
 
企業では、より優秀な個の集団のみにしよう、とリストラをします。
優秀ではない、普通の従業員、劣っている従業員を排除しようとします。
 
が、その改革に追いつけない従業員がどうしても出てきます。
わたしはその怠けアリを救う仕事をしたい、と考えます。
 
その“怠けアリ”は、もともと怠け・低能力だったか、もしくはリストラしたがために低能力じゃなかったアリが相対評価か、あるいはリストラの内容が適正ではなかったために低評価を受けてしまう人物たちです。
そんな存在を救う、ということです。
 
 
  • 理由の無い遅刻・無断欠勤が頻発する
  • ハラスメントが酷い
  • 仕事とは無関係の思想を仕事中・職場内で広めようとしている
  • たのもし講(古い表現ですね。今どきだとマルチビジネスってところでしょうか)をやっている
 
等などは論外です。
これらは、わたしがどうのこうの言うまでもなく、普遍的な基準で排除すべきと判断されるべき存在でしょう。
 
この記事で言わんとするのは、そんな存在ではなく、リストラがあったからこそ怠けアリに位置づけられてしまう存在の人物たちです。
そして、そのことが原因で病んでしまう人物たちです。
 
 
組織の論理によって、経営陣の誤った策によって、はしごを外されてしまいます。
彼ら彼女らは、憤りを感じるはずです。
 
理不尽なリストラ策、制度改定に反発し、もっている能力を発揮できず、組織に不信を抱き、体調不良に陥ってしまう。
 
わたしはそんな彼ら彼女に対して話をききます。
(こういう話のとき「聴く」を“耳と心で14の気持ちで聴く”など、たいそうな説明をききますが、そんな大げさなものではなくてもいいです)
 
「あなたは悪くない。悪いわけではない。会社の論理があなたの論理とずれただけ。あなたが傷つくなら、あなたの論理を会社の論理に無理に合わせようとする必要はない」
と、わたしならあなたに言います。
(ここでいう「傷つく」は、期待していた会社に不安を感じる、体調を悪くする、会社人生に迷う、といった事象も含みます。)
 
 
話をきき、存在を認める、おかしいと考える人間がいるって言うことを共有する、それが重要と思います。
(もちろん、そういう言葉を言うだけではなく、真剣にそういうことを考え、感じる人(ここではわたしのこと)がいるってことを表明することが大事だと思うのです)
 
 
かくいうわたしも、会社にリストラされ(ようとし)ました。
人生の偉大な先輩に相談したら、
 
個人の人生を会社の事情、論理で台無しにする必要はない。楽に考えていいよ
 
とのアドバイス(人生訓というのか、なんと呼べばいいのか)をくださいました。
かくいう彼は、同期の出世頭、相当出世したあとに、ある瞬間、臨床心理士に転職。
そんな彼だからこその説得力。
 
 
ひらたくいうと、わたしは落ちこぼれ。
 
生来の落ちこぼれ、企業の論理で落ちこぼれになってしまう従業員たち。
わたし自身を「お前はうちの会社に要らない」と言われるまで、彼ら彼女らを見つめ、語りかける仕事をしたいと思います。
(救う、という生半可な仕事までは出来ないと思ったので、使いませんでした。)
 

 




 
 

ちゃんとした人事制度が無いと、能力も組織もダメになる:厚労省の改革に期待する

前回の記事で、厚生労働省の改革に期待することを書きました。

 

soumu.hateblo.jp

 

 

人事制度に関して、若干加筆します。

 

 

0.免責

 

わたしは、以前労働省の方々と一緒に仕事をした経験があります。

そのときの記憶をもとに記事を書きます。

その記憶があやふやだし、また聞いた話も間違っている可能性があります。

その点をご理解いただきたく、あらかじめ触れておきます。

 

 

1.残業代は無い、あるいは雀の涙

 

当時、(そして若手の答申にもそう書かれていましたが)猛烈な残業でした。

民間人のわたしで月平均80時間超、職員はさらにやってました。

 

それでも残業代は出ない、か、雀の涙程度だそうです。

 

残業代がどうやって決まっていたか、というと、管理部門の職員が鉛筆なめなめで決めていたそうです。

 

  • 職員Aは最近頑張っているから、残業代をつけてあげよう
  • 職員Bは動きがよくないから、今月は無し

 

この箇条書きの文章は、当時管理部門以外の職員が想像や噂していたような話です。真実ではないかもしれません。

いずれにしても、事実に基づいた残業代は支払われていません。

客観的な労働時間の把握を企業に要請しているお膝元の厚生労働省が、これです。

 

 

人事評価のいくつかあるポイントの1つは、事実に基づき、成果や貢献を測定すべきです。決して、好き嫌いだとか合う合わないだとか、「あいつはなんとなく悪い印象があるから、ダメ」などとすべきではありません。

が、残業代の鉛筆なめなめは、そうであった可能性があります。

 

これでは、人は成長しないし、組織的な成果をあげることもできないでしょう。

 

 

2.稟議、決裁

 

予算や政策、事業など、実施するにあたって決裁(あるいは稟議など)を行ないます。

平たく言えば、上司の印鑑をもらうことです。

 

決裁,印鑑,稟議書



 

この数が、中央官庁だとものすごく多い。

 

みなさんの会社では、決裁完了までいくつの(何人の)印鑑が必要ですか。

 

たとえば、わたしは昔、全社員数が8,000人ほどの企業の本社にいたことがありますが、ヒラ社員(わたし)から社長決裁まで、

わたし→わたしの直属の上司→人事部長→社長

の4つでした。

ま、社長まで必要な決裁はほとんどありません。せいぜい人事部長までです。

 

それが、労働省ではいくつでしょうか。

案件にもよりますが、わたしが経験したのは16個でした。これは少ない方だそうです。

普通で20〜30、多いときは70〜80が必要だったりするそうです。鏡の紙(最も表にくる表紙)が印鑑だけで埋まってしまうらしいです。

 

これは、それだけの階層があるということではなく、関係する部署が多いということです。

たとえば、出費に関するものは経理部門(のヒラ社員→係長→課長補佐→課長)、広報が必要なものは広報部門(のヒラ社員→係長→課長補佐→課長)、人の異動が加わる場合は人事部門(・・・)が加わっていく、という調子。

そして、その印鑑は、コンピューター上ではなく、起案者がすべての人物のところに説明に行って、印鑑をもらうというアナログ。めんどくさいったらありゃしない。

 

人事評価って、その「印鑑をもらいに来た職員が、どう説明するか・説得力があるか」を評価しているんだそうです。

ほんとかウソか。

 

とにかく、ちゃんとした人事評価制度は事実上なかったようです。ほんとはあったかもしれませんが、職員が知っている、わかっている状態ではなかった。

残業代と一緒で、これでは成長は無いし、組織も弱体化します。

 

こんな状況だから、「内閣人事局」ができただけで官僚はヘナヘナになっちゃうのかな、って思いたくなります。

 

 

3.人の成長、組織の力の源泉は人事制度

 

人の成長、組織の力の源泉、根幹は人事制度です。

若手の答申によると、厚生労働省には多分これが無さそうです(あっても形骸化?)。

 

内閣人事局は言わずもがな、ちゃんとした人事制度を作ってあげてよ。

 

厚労省だけじゃなく、中央官庁全体の問題だろうから、人事院とかかな。

独立性を保つ必要があると思うけど、人事院だと内閣総理大臣の直轄だからアカンかな。

 

いずれにしても頼みます。

税金の無駄を無くし、効果的に使われること。

職員がモチベーションと体力を保ち、組織が力を発揮するために。

国民の生活がまともなものになっていくために。

 

 

 

 

 

 

厚生労働省の改革に期待するしか、日本の改良への道は無さそうとも思える

※答申に目を通し、加筆しました。

厚生労働省の若手官僚が、職場環境改革を要望する答申を出した、というニュースが出てました。

ちょっと前なんですけどね。

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1908/27/news079.html

期待してます。

 

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0.この記事の前提

 

わたしは民間企業のサラリーパーソンですが、ほんの一時期、官庁の公務員の方々と一緒に仕事する機会がありました。20年以上前です。まだ厚生省と労働省に分かれていた時代のお話。

そのときの記憶をもとにこの記事を書きます。現在とは違っていると思いますし、また、その答申というのも読んだけど全部理解できてないかも。(記事になにか不備などありましたら、ご容赦ください。)

 

官僚が力を発揮できていない理由はいろいろあると思いますが、職場環境が変わらないと発揮できるものもできないって話です。

 

 

1.偏差値だけじゃない、職員たちの優秀

 

公務員、特に国家公務員、キャリアという人たちを、わたしはそれまでは先入観で見ていました。

  • 頭がいい(偏差値が高い)
  • お金持ちの家に生まれ恵まれた環境で育った
  • 汚職とか不正なことをする人が多い 等など

現実には、少なくとも仕事で接点があったり、あるいは上司たちといった「彼ら」はそうではありませんでした。

 

汚職なども、テレビニュースで出てくるのはほんの一部の一部であって、大多数の公務員たちは真面目に仕事してるんです。

 

頭がいいのは間違いないのですが、彼らの仕事に対する想いは「日本を良い国にしたい」「そのためには自分たちが一生懸命仕事をしないと達成できない」というものです。

そのスピリットに満ちていました。

 

また、キャリアだけではなくノンキャリアも、想いは同じであり、仕事に向けて燃やす情熱は同じです。官庁にはいるための試験の種類は違えど、少なくとも国を思う気持ちについてはキャリアもノンキャリも関係なく、また民間企業のサラリーパーソンとは違うなあ、と感じました。

 

 

そんな彼らと一緒に仕事するのはとても充実していて、民間で仕事をするのとは意味が違う、という側面を感じることができました。

 

 

2.環境が職員たちを無能にしている

 

彼らは優秀であり、彼らがさらに活躍するのならばもっと良い国になる。

具体的には、労働行政は充実するし、新たな政策に意味も出てくる。が、安倍政権でない当時でさえも、彼ら、つまり中央官庁の公務員たちの能力が発揮されない環境でした。

 

(1)貧弱なIT環境

 

当時は文書を書くのはワープロ。「書院」とか「OASIS」とか。10人に1台くらいの割合でパソコンがあったかな。

少しずつパソコンが増えていったんだったかな。すでに会社で(正確にはプライベートのほうが早かったけど)パソコンを使っていた自分は重宝されました。

 

ワープロとパソコンの違いは、データを使いまわしできる、ということですよね。

フロッピーディスク(このブログの読者には、知ってる人は少ないかもしれないね)に保管した文書を他のワープロに差し込んでその文書を修正するとかしかできませんけど、パソコンだとフロッピーやUSBドライブはもちろんですが、サーバーにデータを保管する形を取れば、比較的自由自在です。

 

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それと、当時不便だった圧倒的なハードルは、部署内、あるいは省全体でワープロの機種が統一されていないこと。

極端な話、書院も使えないといけないし、一太郎(パソコンソフトではなくワープロソフトととして)も使えないといけないんです。わたしは使えたからいいけど、使えない多くの職員たちは、たとえばA課が作成したOASISの文書をB課の書院で引用するとかいうことがしづらいので、イチから入力し直すなんてことがあるわけです。

 

もう20年前の話ですから、今とは違うと思います。それでも、答申には「ICT技術の駆使・改善」という大項目があり、その中には様々な効率化の提案あり。

 

労力が無駄遣いになるのを、提言に耳を傾け実現すれば避けられそう。

 

(2)ファイリングという概念が存在しなかった

 

現在進行の文書の保管、整理はしていました。

が、過去の文書は整理されていない。

 

そもそもファイリングという概念が存在しなかった記憶があります。

(他の部門ではあったかもしれないけど)

 

 

彼らの重要な仕事のひとつに国会対応があります。

国会会期中は、国会議員から質問が出て、それに答えるために官僚が資料と答弁を準備します。

たとえば、10月1日の国会で●●議員が労働大臣(もしくは首相など)に▲▲についての質問をする、となりますと、その前日の17時(午後5時)までに議員から▲▲について回答できる労働省の部署に連絡がはいります。

連絡をもらった部署は回答案を書くのですが、過去に同様の質問があったときにどう回答したか、ということもチェックしなくてはならない。そんとき、過去の回答の記録がなかなか見つからなかったり、過去にそういう質問があったかどうかもわからなかったり、極端な話、当時を知っている人物を探し当て思い出してもらうとか。

まあ、不便でしょうがない。

 

これまた、答申の「ICT技術の駆使・改善」の中に“国会答弁のデータベース化”とあります。

20年前に、普通のサラリーパーソン(わたしのこと)が気づいていたことを、まだやってなかった。その知恵がなかったとは思えない。政治家の中に、あるいは官僚のトップ階層の人たちの中に、いろいろと都合の悪い事情があったんでしょうか、と思いたくなります。

 

答申では議員レクにも触れてました。これがまた時間の制約が大きい。

朝7:30とか8:00から、議員に説明に行かなければならない。議員先生は自宅や官舎からお抱え運転手の車でご出勤、職員はもちろん公共交通機関です。

 

 

(3)残業代が出ない

 

労働行政の総元締めの労働省も残業が当たり前。

 

当時の通産省通商産業省。現在の経済産業省)は「通常残業省」とのニックネーム、大蔵省には遅くまで予算をとりまとめ次の日の朝早くからも仕事ができるように「ホテル大蔵(オークラ)」があったりしました。

 

残業代は、少なくともわたしのいた部署は支給されていませんでした。(雀の涙ほどは出ていたらしいですが、実際の超過勤務時間からすれば過小。労働省自身がサービス残業を実践していたという現実。)わたしは、所属している会社に残業時間を報告し、その分をもらえてましたが)

 

わたしは終電に間に合うように退社してましたが、彼らはさらに。超過勤務の時間が想像できるというものです。過労死ラインは平均で80時間/月といわれていますが、それくらい、あるいはそれ以上でした。

 

「そんな処遇(残業代がほとんど出ない)で文句はないの?」

と聞くと、昇格すればするほど幾何級数的に給料が増えていくので、そのため今は(若いうちは)文句言わず頑張っている、と。(天下れば、もっとすごい処遇が待っているとも噂されてました。)

 

残業の夜食も出ません。終電に間に合わなかった場合のタクシー代も出ません。

果たして、労働行政がそんなことでいいんでしょうか。仕事した分、報酬があるのが当たり前じゃないでしょうか。

 

「客観的な労働時間の把握」を民間企業に要求している労働行政ですが、紙ベースでしか労働時間管理をしていない事情、彼らにはあるかもしれません・・・。

 

※夜食、タクシー代は支給されないものの、彼らなりに工夫、改善し、自己防衛していました。そのやり方はわたしからすればまっとうと感じていましたが、同じようなやり方をやりすぎちゃった役所(労働省じゃない)が出てきちゃって、社会から猛批判を浴びたので、ここでは触れません。

 

 

3.醜悪政権の今、日本を救えるのは

 

内閣人事局というのが内閣にできて、官僚たちは骨抜きされてるらしいですね。

そんな環境においても、官僚は官僚の役割を果たしてほしい。その能力はある。

 

彼ら本人たちが頑張らなければならないことももちろんあると思います。

が、コトわたしの経験上からすれば。

 

(1)労働環境

 

上にあげたような、不具合のある労働環境は改善されなければなりません。

労働環境は、本人自身が、というよりまわりが変わらなければって感じだと思います。

 

企業でも、両面あると思います。

人が変わるのか環境を変えるのか

 

官僚の場合、人は十分だと思います。

内閣人事局なんかに負けてたまるか、という意識改革はあってもいいとは思います。)

それよりなにより環境が変わってほしい。

 

(2)国民の目

 

「民間のサラリーパーソンの給与が上がらないのに、なぜ公務員の給与は上がるのか」

「公務員の給与は税金なのだから、残業代は出なくて当たり前」

 

といった国民、納税者の考えがあるなら、それは考え直してほしい、と思います。

公務員の多くが、身を削りながら仕事してます。

 

民間企業だって、だれかの金銭的負担が給与になっているんです。

パン屋さんの店員の給与はパンを買った客のお金です。居酒屋の社員の給与はビール代にお金を支払ったお客さんのお金ですよ。

だから、公務員の給与も「行政」サービスへの対価の税金という代金を国民が支払った、それが原資ですよ。給与は税金って大したことはない。

(政治家の報酬は厳密に考えたい)

 

 

4.最後に

 

当時、一緒に仕事をした方の一人が、今年でしたか、不正統計の問題で国会で答弁してました。

その方が不正を働いたわけではないのですが、上の立場の人ですから答えないわけにはいかない。

しかも、内閣人事局に握られて、本当のこともいえず、適当にごまかす答弁しかできない。

 

その方はとても良心的で、意欲も高い方でした。真面目で、怖い課長にも信念を曲げず立ち向かい、一方で飲み会があると優しく楽しい会話で盛り上がりました。

 

いろんな経緯があってその国会答弁だったのでしょうが、いろいろな「環境」の変化であのようになったのでしょう。

悲しくなりましたね。

 

若手の答申かもしれないけど、他の省庁も含め、官僚の役割や存在が見直され、政治も変わってほしいと願わずにはいられません。

 

 

 

 

 

 

JK(高校生)が考えている「こんな会社に入りたい」「こんな会社には入りたくない!」

就職を目指す高校生たちと雑談をする機会がありました。

彼ら彼女らに聞いた、に聞いた、「こんな会社に入りたい」「こんな会社には入りたくない」です。企業の採用担当者(わたしを含む)は参考にしましょう。

ちなみに、男女の割合は女子学生が9割程度です。

 

 

 

 

1.入りたい会社

 

  • 自宅から近い
  • ブラック企業じゃない
  • 給与が他の企業と比較して良い(高い)
  • 職場の雰囲気が良い
  • やりたいと希望していた仕事ができる

 

 

2.入りたくない会社

 

ブラック企業(→次項参照)

 

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3.JKが考える「ブラック企業」とは

 

「君たちが考えるブラック企業って、どんな企業?」

と質問してみました。社会人経験がない彼女たちなので、正確な表現じゃない部分があります。高校生の時点でどういう理解をしているか、という観点で参考になると思いますので、そのまま掲載します。

 

  • 事前に説明された仕事とは違う仕事をさせられる
  • ハラスメントがある(注1)
  • 職場体験でのブラック経験(注2)

 

 

注1:「ハラスメントってどんなもの?」と聞くと、彼女たちははっきり知っているわけではありませんでした。パワハラやセクハラの概要を説明すると、「それです」との反応。

 

注2:高校生の授業の一環として、職場体験が存在します。この発言をした高校生の実際の体験を教えてもらいました。説明してくれる前に「会社の名前は言えませんが」との前置き。真面目な生徒でした。

 

  • 9:00までの集合、15時までの体験という予定だった
  • 8:45に企業に到着した。まだ時間的に余裕があったと思っていたが、「(作業衣への着替えを)早くしろ。ボヤボヤしてるんじゃない!」と怒られた
  • 15時に終了の予定だったが、大幅に遅れて17時の終了となった。事前・当日・終了後、どの時点でも説明はなく、謝罪的なものもなかった

 

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高校生にしても、大卒・短大卒にしても、新卒学生を集めるのに、現在ほど厳しい時代はありません。

就職を希望する学生からそっぽ向かれる企業は、お客様(消費者)からもそっぽ向かれます。