枝野幸男の「炎の3時間大演説」感想文をサラリーパーソンなりに書いてみる
言わずとしれた、枝野幸男氏による、安倍内閣を不信任決議案の提案主旨を説明する演説をそのまま掲載した本です。
発売され、すぐ話題になりました。
というか、そもそも、枝野幸男氏(立憲民主党代表)が安倍内閣不信任決議案の主旨説名という演説が約3時間(正確には、2時間43分だそうです)もの長時間だったことが話題となり、しかもその演説の内容が理路整然としていた、しかも原稿が用意されていたわけではなく、たったの数枚のレジュメだけが演題にあったというだけだった、といったことで話題となりました。
「お冷を飲む」まで細かく原稿に書いてあるのに、背後を「せぃご」と読んでしまう、不信任の対象になった安倍首相とは大違い
記録が残るなかで、2時間43分は衆議院で最長だそうです。書籍もAmazonでも1位になったそうですよ。
そんな本ですから、この本の解説、評価は多くの人によってすでになされています。Amazonのレビューもたくさん残ってます。
この記事では、管理職がわきまえるべきコミュニケーションという観点から書きます。
そういう観点からも、大変興味深いです。
1.アサーティブな文言
以前、このブログで「アサーション」について触れたことがあります。
アサーションとは何か、わからない方はその記事やこちらをご覧いただければ、と思います。
この本、つまり枝野幸男氏の演説はアサーションに優れている。アサーティブな内容、文章になっているということが言えます。
この本をあらためて説明すると、野党(国民民主党・無所属クラブ、無所属の会、日本共産党、自由党、社会民主党・市民連合及び立憲民主党・市民クラブ)を代表して、立憲民主党の代表・枝野幸男議員が、安倍内閣不信任決議案の主旨を説明した演説を、そのまま書籍化したものです。
解説は、上西充子氏(法政大学教授)、田中信一郎氏(千葉商科大学特別客員准教授)です。(この2人の解説が、演説の価値を理解するのに大きく貢献してます。)
不信任決議案です。時の内閣を「任せられない」と主張する演説なので、アサーションなんて言ってる場合じゃない場面です。
でも、アサーション、アサーティブな表現で演説することが必要だったし、またアサーティブな演説が必要となるくらい、安倍政権が情けないのです。
この演説は、単に安倍首相や閣僚の否定をするだけではなく、随所に、
- 立憲民主主義ってこういうことですよね
- 保守ってこういう歴史から生まれたものですよ、保守なら保守らしくしてください
- 国会ってこういう役割を果たすべきところです、ところが・・・
といったように、本来あるべき姿を丁寧に説明し、そこから大幅に逸脱し自分たち本位でめちゃくちゃな国会運営、行政を強行している現実を指摘しているんです。
安倍首相、安倍内閣に対し、そうやって噛み砕いて説明する必要がある。それくらいの意識になるほど、
「もしかして、国会の役割ってわかってないんじゃないですか?」
と言いたくなるほど、安倍内閣の対応は疑問に満ちたものでした。
だからこそ、アサーティブな物言いにならざるをえなかった。
管理職には、人の上に立つには、アサーティブな姿勢や言動が必要です。必須です。
管理職にとっては、受難な時代です。
360度評価といって、上司や会社(上)の評価だけではなく、他の部署の管理職、ましてや部下からも評価される仕組みが導入される時代。
「部下からの評価」は決して大げさではなく、たとえばAさんという管理職をAさんの部下が評価する、という一対一だけではなく、全社員から企業運営やトップ、経営層、リーダー(管理職、マネージャー)の指導・教育・ビジョンは理解できるか?などの調査(エンゲージメント調査などという名称だったりします)をもとに企業運営をする会社が増えてきました。
エンゲージメント調査は一人ひとりの評価に結びつくものではないですが、まあとにかく全方面から評価される立場。
部下に対する厳しい指導は、パワハラとなってしまいます。
部下を育てよう、部下の成長を期待しよう
という想いからの指導じゃないと。
厳しい指導が意味あるものになるには、アサーティブ、アサーションです。
2.政治の入門書としても
この演説は、国会運営、国会議員、与党・野党の役割などなど、枝野議員が丁寧に説明してくれています。易しく噛み砕いて。
政治の仕組みの勉強、おさらいにも非常に有用。
アベ政治のおかげで、政治に関心を持ち始めたわたしにもぴったりでした。
ちゃんとわかったうえで、アベ政治を批判する。(あ、アベ政治を擁護、あるいは支援する人を否定はしません)
上西充子氏や田中信一郎氏の解説も、理解を深めるのに役立ちます。
価格も手頃。大きな書店では見当たらなかった(少なくともわたしの住んでいる地域では)ので、ネットからお求めになるといいと思います。
こんな記事も書いてました。
今こそまさに、#枝野立て