新米管理職が書き綴る人事労務の仕事の毎日

管理職・マネージャーになりたて、あるいはこれから管理職を目指そうという方に向けて、現役管理職のわたしが経験談を中心に参考になる話をします。

転職者の採用試験はどのように行われるか、ハローワークの場合

前回の記事

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がバズりました。はてブはてなブックマーク)が21も付いちゃって。

 

このブログのテーマにはあまりフィットしない話題だったかもしれません。が、このブログらしさという点で言えば転職時の面接に触れましたので、転職の採用について書きます。

転職者の採用を企業はどう行うのか、合否を決めるのはどういうポイントか・・・。

転職を考えている人、まさに今転職のための求職活動をしている方、参考になると思います。

 

 

 

 

1.転職者の採用

 

採用する側(企業の採用担当者側)からみますと、転職には主に3つのルートで行われます。

 

  1. ハローワークの求人票
  2. 転職エージェントに登録された求職者を求める
  3. 派遣会社に登録された候補者を紹介予定派遣で就労してもらう

 

このうち 1.転職エージェントは、リクルートエージェントといったエージェント会社が登録された求職者を面接、評価し、どのような企業に合うのかをマッチングさせながら転職を進めます。エージェントのスクリーニング(選別、評価)が行われますので、転職者を選別、評価する手間が企業側にはあまりかかりません。

 

また 2.紹介予定派遣の場合、将来直接雇用することを前提に派遣契約の形で就労してもらう形。派遣として働いてもらっている間(たとえば1カ月とか3カ月とか)に企業側が評価できますので、これも時間をかけて評価できます。

 

この記事では、以上の2つのパターンのご説明は省略し、 3.ハローワークからの求職者のパターンをご説明します。これが最も企業側の選別、評価の負荷がかかるものであり、転職者の参考になると思うからです。

参考…転職エージェント、紹介予定派遣は企業にとっては有料になります。選別、評価の手間がかからない分、お金はかかります。

 

 

2.ハローワークの求人票

 

ハローワークに企業が求人票を出します。それを求職者(職を探している人)が検索して、自分が応募したい企業を見つけます。

企業、求職者いずれにとっても無料です。そのため、最も行なわれやすい方法です。

 

求職者のハードルは低く(多種多様な人たちが応募するという意味合いです)、企業側の見極めが必要です。

 

たいていは、応募にあたっては履歴書を提出する必要があります。職務経歴書を一緒に提出させることもあります。(職務経歴書とは、これまでどんな仕事をしてきたか、どんな企業や団体に勤務してきたか、どんなスキルがあるか等を列記したものです。)

 

企業側は書類選考をすることができます。が、その場合は、ハローワークに求人票を出す段階で書類選考をする旨と、どういう基準で選考するかをハローワーク側に伝えなければなりません。

この基準が難しいんですよね。企業側はある程度選考をしたい(郵送されてきた応募書類だけで選別したい)のですが、どんな基準で選考するか、というのをハローワークに納得してもらわないといけない。

 

男女雇用機会均等法や年齢など、成約がある(企業側は原則、男女や年齢の特定はできない。たとえば、女性の20代限定など)のはもちろんですが、「片道2時間はかかる」ほどの遠方から応募があったら選考してもいいですよね、と聞いたら、ハローワークの担当職員は「その基準ではNG」なのだそうです。

学歴も、その業務に必然性がなければ設定することはできない。

 

つまりは、書類選考なんて現実無理なのです。(多数の応募者数をかかえる企業であれば選考はやっていると思いますが。)

というわけで、郵送されてきた応募書類はすべて試験をやる。で、試験・面接と当日の書類だけで判断するのです。

 

 

3.適性検査

 

適性検査を導入する企業は少なくないと思います。

V-CATという適性検査については、以前記事にしていますので、参考にしてください。他の適性検査については、ごめんなさい、わかりません。

 

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4.応募書類および面接

 

さあ、面接です。

わたしが面接官だとしたら、チェックするポイントは以下のとおりです。

 

(1)過去の入社・退社履歴

(2)過去の職歴でどのようなスキルや経験をしてきているか

(3)転職活動の中で、なぜ当社を志望したのか

 

入退社の履歴が多すぎるのは怪しい。耐えることができるのか、飽き性じゃないのか、うちの会社でしっかり、続けて仕事をしてくれるのか不安。

多すぎるのは問題ですが、リーズナブルな(納得できる)理由なら理解することもあります。

 

過去の事例では、「ハッドハントされた」、「親が体調を崩し、介護をしなければならず、やむなく仕事をやめ出身地に戻らざるを得なかった」、「超ブラック企業で、9時から日付が変わるころまで毎日。休みもほとんどなかった。このままでは体を壊し、家族も養えない危険を感じ、やめた」でしたら、まあ納得できるかな。

 

「毎日同じ経路を出勤・退勤し、飽きた」「フリーランスに憧れ、企業勤務がバカらしく思えた」「ブロガーになろうと、有名プロブロガーのサロンにはいって勉強したが、期待していたものと違い、やめた」はNGですね。


以前、こんな事例がありました。

大卒後、とある民間企業に入社。2年後その企業を退職し、数年間ブランクがあり、その後当社を受験。

 

面接官「この数年間、何をしていたんですか?」
応募者「自分が甘かったんです。親に甘えていました。」

 

??? わかりません。もしかしたら、数年間プロブロガーを目指してたのかな。

んー、その応募者は違ったかもしれませんけど、入社した企業を数日で辞め、プロブロガーを目指しサロンにはいり、目的をかなえられず、お金を使い果たした人たちが転職で面接に来たら、こんな調子でしょうか。

 

もちろん、面接は合格しませんでしょう。わたしなら不合格です。

 

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どんなスキルを持っているのか、努力した経験はあるのか。それがなければ、自分の会社で一緒に仕事しようという気を持てません。

失敗しててもいい、壁にぶつかって、難題にめぐりあって、自分なりに工夫・努力して心身を鍛えた経験がなければ、採用には値しません。

 

 

なぜ当社を志望したのか、たまたま求人票を見つけて、適当に応募したのではないのか。だとしたら、うちの会社でもすぐに辞めてしまうかもしれない。

志望理由が納得できなければ、採用する気になれません。

 

 

さてさて。

プロブロガーのみなさん、インフルエンサーのみなさん、サロン主催者のみなさん。「履歴書なんてオワコン」とか言うんでしょうか。企業経験(企業じゃなくても、公務員とかでも同じですが)なくても生きていけそうですか。

 

 

ブロガーかサラリーパーソン(サラリーマン)か、迷ってもいい。

自分の市場価値がどんなものか、試してみてはどうですか ↓ 無料です。

 

 

 

7.最後に

 

前回の記事が、わたしにとっては超のつくバズだったので、次の記事はしっかり書かないといかんなあとプレッシャーを感じてましたが、しょせんはサラリーパーソンブロガー。できることは限られている。自分のペースを乱さず、やっていきます。

 

立って半畳、寝て一畳

 

 

 

「企業に入社する必要無し」とのたまうブロガーには成功も無し

企業に入社しようか、それともブロガーになろうか・フリーランスになろうか、と考えている学生さん、迷わず企業に入社しなさい。

その理由をこれから述べます。

 

 

1.背景

 

最近、インフルエンサー(影響を与える、あるいは影響が大きい人物たち)やプロブロガーなどが、

 

  • 大学に行く必要はない
  • 企業に勤める必要はない

 

などと若者をあおっています。わたしからは「唆している」(そそのかしている)と映ります。

企業で人事や採用を担当している立場や経験から、若者側の彼ら彼女らに一言残しておきたい、と思い、この記事を書きます。

 

 

2.ブログで成功している人たち

 

ブログが注目を集め、書籍出版したとか、アフィリエイトで高額の収入を稼ぐとか、その他様々な手段で成功されています。

 

そんな人たちのうち、一部の方々が「サロン」や「ブロガーズギルド」などと称して、ブログを学ぶ集まりを主催し、稼ぐためのブログの書き方を学ばせています。さらには就職(この場合、主に企業に就職)するかしないか迷っている学生や、大学に進学するか否か迷っている高校生たちを唆して(そそのかして)います。

 

そういう動きに呼応して、多くの若者たちが、内定式の日にその企業に就職するのをやめたとか、大学に進学するのはやめてフリーランスになることを決めた、といったツイートがポロポロ出始めています。

 


成功している人たちにはそれなりに一家言があるだろうし、ネタにできるものがあるのでしょう。それを否定はしませんし、お金を支払ってでもそれを学び取ろうとするのはいいのですが、価格と効果、つまりはコストパフォーマンスが悪い連中が、ところどころにいるようです。

 

 

 

評判がよくない、とネットで多く語られてる人たちがいます。(以降「それらの人たち」と呼ぶことにします)また、それらの人たちにくっついて、はやしたてる側にいる人物たちもいます。

ふっと気づいて、それらの人たちから逃げ出し、その実体験をもとに、「若者よ、間違えるんじゃないよ」と呼びかけしている人たちもいます。

 

社会のことを何も知らず、経験せず、それらの人たちに着いていくのは危険です。止めた方がいい。

(念のため補足しておくと、ここで言っている「社会」とは、アルバイトや海外でのホームステイ程度のことではありません。)

 

 

3.「それらの人たち」

 

信念があり、それらの人たちの著作を読み、それらの人たちの生き方に心酔し、それらの人たちのような生き方をするのが夢なのなら、それを無理して止めることはしません。

 

が、会費が高額だったり、マインドコントロールに近いものだったり、とある地域のコミュニティーや土地をあらしたり、サロンそのものも実質的に価値のないものだったり、ということがネットで明らかになってますが、夢を持つ対象としての価値があるものとは言えそうにありません。

 

 

それらの人たちも、最初の頃は良かったのかもしれません。年収?千万円とか、本を出したとか、メディアに取り上げられたとか、NPOを立ち上げたとか。わたしもそのうちの1人の本(共著)を読んだこともありました。(その出費をしたことを後悔してます。)

 

 

が、そのうちおかしな方向にかじをきり、人や組織をディスったり、かと思えばその組織に頼ろうとしたり。サラリーパーソン(サラリーマンのこと)をディスったり。

ディスる:批判する、否定する・・・)

 

炎上することでしか注目を集められない存在になってしまっている人もいます。スピリチュアル系もいたり。

 


4.ブロガー→サラリーパーソンはほぼ無理

 

人事、採用の仕事をしているわたしが言えること。それは、

 

  • サラリーパーソンが趣味でブログ書く
  • サラリーパーソンが副業でブログ書く

 

あるいは

 

  • サラリーパーソンが、充分準備し、リサーチしたのちにブロガーに転身する

 

のは悪くないし、できる可能性は高いと思います。

ダイエットとフリーランス転身に成功した“あの方”はその典型と思います。

 

  • ブロガー→サラリーパーソン

 

の転身は難しいでしょう。否、無理です。

 

ブロガーがしんどく、お金も稼げない、誰からも注目されない、だから安定したサラリーパーソンになろう、という姑息はまず成功しないでしょう。

さらに言えば、「尊敬していたブロガー師が、期待していたのと違ってた。だからサラリーパーソンに」といったら、目も当てられません。

 

 

4ケタの人数は面接してきたわたし、採用試験で落とすと思います。

あ、正社員だけじゃないですよ。契約社員でもパートでも。

 

 

 

人の成長、事業の成長は、土台がなくては所詮無理。

何もないところから何を生み出そうとするのか?ってことです。

 

ブログで何を生み出そうとするのか。人から価値を認められるブログ記事を書こうと思うなら、相応の知識や経験がなければ無理ですよ。

 

 

だから、人を採用しようと考えた場合、正社員はもとより、契約でもパートでも、社会の経験をしてない人は採用しません。履歴書はもとより、面接でも「この人を採用したい」と思える人物には巡り会えないでしょう。(新卒は別です)

 

「多様な考え方や生き方がある」

 

といってもそれだけではダメ。人間の土台としての経験がなければ。

 

 

若い連中がだまされて、あるいは唆されて、サロンにお金をつぎこんで、捨てられている人もいるらしき模様は、まるで偏差値の高い学生がオウム真理教に入信していった悪夢を思い出します。

 

 

繰り返しますけど、

 

企業に入社できる状況が獲得でき、それでも迷いがあってどうしようかと悩んでいるなら、企業に入社することを薦める(すすめる)

 


それと、

 

大学に行ける学力と資金(親、保護者、支援者などの支援を含む)があるなら、進学することを薦める

 

社会勉強のため、人間の土台をしっかり作るため、大学に行けるなら行った方がいい。(だからといって、大学卒が全て高卒に勝るとは限りませんが。)

 


5.型に入り、型から出でよ 


世界的な指揮者、小澤征爾さんや、ベルリンフィルコンサートマスター 安永徹さんら、多くの世界的な音楽家を育て、チェリストでもあった指揮者 齋藤秀雄さんの言葉、

 

型に入り、型から出でよ

 

この言葉を解説した齋藤さん自身の説明を知らないので、この言葉が紹介されたテレビ番組での説明を借りると、

 

  • 基本を徹底的に学んで身につけてから、応用を効かせる
  • 基本を学ばず、基本が身につかなければ、その後の成長は無い


ということ。

 

指揮者の小澤さんは、指揮棒の振り方というレベルのことさえも含め基本的なことを何度も何度もやらされたそうです。それがあったからこそ、その後の成長があった、とも振り返っておられます。

 

 

社会経験を積まず、社会のなんたるかも未経験な人たちに、飛躍はない。

悪いことは言わないから、企業で働ける機会を得られるなら、まずはそこから。

 

 

 

評判の悪い「それらの人たち」の一部には、サラリーパーソン経験がある人もいる。

その世界に耐えられなかったのか、自分はその世界に生きる人間ではないとドロップアウトしたのか詳しくはわかりませんが、それらの人たちに、未来ある何色にも染まっていないヤングブラッズをそそのかす資格などない。

 

 

良心的なスタンスでツイートし続けておられるアカウントを、ほんの一部引用させてください。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

【追記】

ソニーの創業者の一人、盛田昭夫さんの著書です。

「人様からお金をいただくとは、どういうことか?」を自問自答され、ご自身なりの結論からソニーを創業されたことが書かれています。もう30年前の著書なので正確には覚えていませんが、盛田昭夫さんの考えがわたしの就活(就職活動)に大きく影響しました。

 

 

管理職を目指す人に知ってほしい、カンタンに自分の市場価値を知る方法 ミイダス

管理職昇格を目指している人が、自分の客観的な価値を知るのは有用です。

 

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自分の能力レベルはどの程度なのか、同期と比較してどうなのか、会社に貢献できているのか等々。

 

この場合の価値とは、自分の所属する組織(企業、団体など)だけではなく、日頃埋没しがちな、社外も含めた社会にとっての価値とか自分のポジションです。

会社の中だったら、上司の評価があります。でも会社全体とか、あるいは会社を離れて、社会にとってどれだけの価値があるのか。

 

たとえば、あなたは他の企業で仕事したらどれだけ評価されますか。地域社会に貢献してますか・・・等など。

 

そういう観点で自分を見つめなおすのは、昇格試験に合格するか否か、という狭い範囲でのことはもちろん、大所高所から俯瞰した場合の自分を意識するのに重要です。

わたしの体験談をもとにご紹介します。

 

 

 

 

1.転職エージェントへの登録

 

最もカンタンで、しかもタダでできる。それは、転職エージェントへの登録です。

本気で転職活動をしなくてもいいです。転職活動しなくても、登録はタダです。

 

これによって、自分の価値、たとえばエンプロイアビリティがどの程度かがわかります。エンプロイアビリティは、日本語にすれば「雇用される能力」といったところかな。

 

エンプロイアビリティとは コトバンク

 

わたしの経験ですと、過去にある程度真剣に転職を考えていたこともあり、4〜5社程度に登録しました。各社でそれぞれ特徴があるのですが、今回ご紹介・オススメするのはミイダスです。

 

 

 

2.ミイダスとは

 

ミイダスとは、安田顕さん(ドラマ「下町ロケット」での演技が印象的です)のCMでときどき見かけますね。

「優良企業15,000社に経歴を紹介できる」だとか「書類選考合格率100%」だとかいろいろあるのですが、いちばんわかりやすいのが

 

あなたの経歴・スキルから
現在の市場価値がわかります。

ということ。

 

登録する際に、学歴やら職歴、所属した(している)企業、職種、スキル、資格、語学力などを入力します。

すると、「現在の市場価値」として具体的な年収額が表示されます。

(わたしの場合、613万円。実際の年収の・・・・・100%よりも下です)

 

あくまでミイダスの解析した結果ですから、その金額は参考程度にしていただき、一喜一憂する必要はありません。

ただ、ほんとに参考にはなります。

 

わたしの場合、

  • 資格が足りないのかな
  • 経験している職種が少ないから価値が低いのかな
  • 今所属している企業の処遇が良いのかな

とかとか、いろいろと考えをめぐらすことができます。

 

 

3.自分の資質、タイプなどがわかる

 

年収だけではありません。適性検査の結果も出てきます。

わたしの結果は以下のとおりです。(スマホアプリのキャプチャ画面を組み合わせた画像です。)

 

 

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項目としては、

マネジメント資質、パーソナリティの特徴、職務適性、上下関係適性、ストレス要因が10点満点で何点かが表示されます。

それぞれの項目もさらに分類された項目でびっしりとした説明。たとえば、「職務適性」であれば「販売/サービス職」の事務職で5点、企画職で4点といった感じ。

 

また、画像の左上をご覧いただくと企業数が出ています。条件に合う、あなたに興味がある(登録したあと数日すると出てきます)なども早速やってくるのです。(ありがたいことに、興味があるというメールがバンバン届く他の転職エージェントとは異なり、自分からアプリを見に行くスタイルなので、煩わしくありません。)

 

これらの情報は、あなたが客観的な自分自身を理解するのに役立ちます。

転職するしないにかかわらず、有用です。ぜひお試しください。

 

 

なんと、

2020年7月7日現在

個人ユーザー 44万人

月間登録者   2万人

利用法人   15万社

と、利用者・社数が多いです。

 

 

 

 

昇格試験には、V-CATなどの適性検査が行われる場合があります。

V-CATについての記事を書いてますので、そちらも参考になさってください。

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枝野幸男の「炎の3時間大演説」感想文をサラリーパーソンなりに書いてみる

言わずとしれた、枝野幸男氏による、安倍内閣不信任決議案の提案主旨を説明する演説をそのまま掲載した本です。

発売され、すぐ話題になりました。

 

枝野幸男、魂の3時間大演説

枝野幸男、魂の3時間大演説



というか、そもそも、枝野幸男氏(立憲民主党代表)が安倍内閣不信任決議案の主旨説名という演説が約3時間(正確には、2時間43分だそうです)もの長時間だったことが話題となり、しかもその演説の内容が理路整然としていた、しかも原稿が用意されていたわけではなく、たったの数枚のレジュメだけが演題にあったというだけだった、といったことで話題となりました。

 

「お冷を飲む」まで細かく原稿に書いてあるのに、背後を「せぃご」と読んでしまう、不信任の対象になった安倍首相とは大違い

 

記録が残るなかで、2時間43分は衆議院で最長だそうです。書籍もAmazonでも1位になったそうですよ。

 

そんな本ですから、この本の解説、評価は多くの人によってすでになされています。Amazonのレビューもたくさん残ってます。

この記事では、管理職がわきまえるべきコミュニケーションという観点から書きます。
そういう観点からも、大変興味深いです。

 

 

1.アサーティブな文言

 

以前、このブログで「アサーション」について触れたことがあります。

アサーションとは何か、わからない方はその記事やこちらをご覧いただければ、と思います。

 

www.direct-commu.com

 

この本、つまり枝野幸男氏の演説はアサーションに優れている。アサーティブな内容、文章になっているということが言えます。


この本をあらためて説明すると、野党(国民民主党・無所属クラブ、無所属の会日本共産党自由党社会民主党市民連合及び立憲民主党・市民クラブ)を代表して、立憲民主党の代表・枝野幸男議員が、安倍内閣不信任決議案の主旨を説明した演説を、そのまま書籍化したものです。

 

解説は、上西充子氏(法政大学教授)、田中信一郎氏(千葉商科大学特別客員准教授)です。(この2人の解説が、演説の価値を理解するのに大きく貢献してます。)

 

 

不信任決議案です。時の内閣を「任せられない」と主張する演説なので、アサーションなんて言ってる場合じゃない場面です。

でも、アサーション、アサーティブな表現で演説することが必要だったし、またアサーティブな演説が必要となるくらい、安倍政権が情けないのです。

 

 

この演説は、単に安倍首相や閣僚の否定をするだけではなく、随所に、

 

  • 立憲民主主義ってこういうことですよね
  • 保守ってこういう歴史から生まれたものですよ、保守なら保守らしくしてください
  • 国会ってこういう役割を果たすべきところです、ところが・・・

 

といったように、本来あるべき姿を丁寧に説明し、そこから大幅に逸脱し自分たち本位でめちゃくちゃな国会運営、行政を強行している現実を指摘しているんです。

 

安倍首相、安倍内閣に対し、そうやって噛み砕いて説明する必要がある。それくらいの意識になるほど、

 

もしかして、国会の役割ってわかってないんじゃないですか?

 

と言いたくなるほど、安倍内閣の対応は疑問に満ちたものでした。

だからこそ、アサーティブな物言いにならざるをえなかった。

 

 

管理職には、人の上に立つには、アサーティブな姿勢や言動が必要です。必須です。

 

管理職にとっては、受難な時代です。

360度評価といって、上司や会社(上)の評価だけではなく、他の部署の管理職、ましてや部下からも評価される仕組みが導入される時代。

 

「部下からの評価」は決して大げさではなく、たとえばAさんという管理職をAさんの部下が評価する、という一対一だけではなく、全社員から企業運営やトップ、経営層、リーダー(管理職、マネージャー)の指導・教育・ビジョンは理解できるか?などの調査(エンゲージメント調査などという名称だったりします)をもとに企業運営をする会社が増えてきました。

エンゲージメント調査は一人ひとりの評価に結びつくものではないですが、まあとにかく全方面から評価される立場。

 

部下に対する厳しい指導は、パワハラとなってしまいます。

部下を育てよう、部下の成長を期待しよう

という想いからの指導じゃないと。

 

厳しい指導が意味あるものになるには、アサーティブ、アサーションです。

 

 

2.政治の入門書としても

 

この演説は、国会運営、国会議員、与党・野党の役割などなど、枝野議員が丁寧に説明してくれています。易しく噛み砕いて。

 

政治の仕組みの勉強、おさらいにも非常に有用。

 

アベ政治のおかげで、政治に関心を持ち始めたわたしにもぴったりでした。

ちゃんとわかったうえで、アベ政治を批判する。(あ、アベ政治を擁護、あるいは支援する人を否定はしません)

 

上西充子氏田中信一郎氏の解説も、理解を深めるのに役立ちます。

 

 

価格も手頃。大きな書店では見当たらなかった(少なくともわたしの住んでいる地域では)ので、ネットからお求めになるといいと思います。

 

 

 

こんな記事も書いてました。

今こそまさに、#枝野立て

www.ewave.space

管理職昇格の面接に向けての準備

このブログにたどり着いた方の中には、管理職、あるいは何らかの昇格のための試験を真剣に考えておられる方がいらっしゃるでしょう。

 

なんども昇格試験、面接を受けてきた経験をもとに、「こんな心構えでどうでしょうか」というのをご紹介します。あくまでわたしの経験談ですので、当たるか否か、正しいかどうかはわかりません。参考程度に。


別のブログに同じような主旨の記事を書いてて、マルチポストと疑われるかもしれません。その点はご容赦ください。

 

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想定される質問

 

これらの質問にどう答えるか、普段からこういうことを意識して仕事しているか。参考にしていただければ、と思います。

 

  • どういう仕事を担当していますか? その仕事の目的は? その仕事の“お客様”は誰ですか?
  • その仕事に対して、どういう想いで取り組んでいますか?
  • これまでどんな仕事をしてきましたか。異動、転勤の履歴を教えてください。転職していたら、以前の会社のこともコンプライアンスの違反にならない範囲で教えてください。(退職の際に、守秘義務契約を締結する場合がありますので、安易に前の会社のことを話すことは注意が必要。)それらの経験から得られたあなたの強みはありますか。
  • あなたの強み、得意なことを生かして、会社にどう貢献しますか。
  • あなたが、他の受験者より勝っていると誇れる強みはありますか。
  • あなたの部署、あなたの在籍する事業所が抱える大きな課題は何ですか?
  • その大きな課題に対して、あなたが事業所の長(支店長、部長、工場長等その事業所・部門のトップ)になったつもりで考えてください。
  • それらに対して、あなたはどういう気持ち(考え方)でどういう役割を担っていますか?
  • 仕事において心掛けるべきと感じ実行している点があれば教えてください。
  • あなたのこれまでの経歴で、上司、部下、同僚を含めて学んだ人がいますか? それはどういう点ですか?
  • 管理職になったら、どう言う考え方で仕事に臨みますか? これまでとは変えないといけないと思っている(変えつつある)点はありますか。
  • 今のリーダーをどう言う気持ち、形でサポートしていますか?
  • メンバーを育成していますか?

 

これらの質問は、受験者の意識や姿勢を問うものです。

人によって何を聞かれるかは変わってくるでしょう。わたしの場合は、意識、姿勢が足りないと思われていたのかもしれません。だからそんな質問をされたのかもしれません。

 

優秀な方、将来の幹部候補生であれば、事業運営について聞かれるかもしれませんし、幹部である面接官が「こいつを自分の後任にしようと思っている、そのために資質を問うてみたい」と聞いてくる場合もあるでしょう。

 

 

 

●適性検査(V−CAT)が行われる場合があります

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その他にも、管理職昇格のための試験はいろいろあります。こちらにまとめてます。

soumu.hateblo.jp

 

 

 

 

とあるマネージャー向けの研修を受けた際、内省、リフレクションというものを学びました。マネージャー、リーダー、管理職が心得ておくことがストンと落ちてきたことを学んだ本です。 

リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)

リフレクティブ・マネジャー 一流はつねに内省する (光文社新書)

 

 

人事・労務担当者がふるえて喜ぶ仕事の瞬間:採用

人事・労務担当者の愚痴の記事です。

 

 

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人事、労務、総務の仕事は、ちゃんとできて当たり前。

ほめられる、評価されることはまずありません。

逆に、うまくいかなかったときにはこっぴどく叱られる。

 

たとえば、異動や転勤は、多くのサラリーパーソンにとっては嫌なこと。

「いい転勤だ」となる場合もないこともないだろうけど、イヤな転勤・異動があったら、そのマイナスな印象が強く残り「自分は転勤させられた」と被害者意識になる。そして人事部をうらんだりする。

 

 

人事評価、考課。これも、まず喜ばれることはない。

 

どんな会社も、どんな組織も、まず間違いなくバランスよく評価をするはず。
つまり、良い評価と悪い評価と標準と。

だから、良い評価をしてもらった部下、良い評価を与えた上司は喜ぶはずだが、良い評価をした分、悪い評価をしなければならない部下もいる。かわいい部下に良い評価を与えたい上司も、人事担当者の調整で評価を下げなければならない場面に出くわす。

悪い評価の方が記憶が強く残る。
だからやっぱり、人事担当者は嫌われる。

 

不祥事があったら、就業規則に則って処罰する。
これも憎まれ役。

不祥事を起こした人物はもちろん処罰を受ける立場であり文句は言えないのだが、周囲は、不祥事はそっちのけで人事担当者を嫌う。

 

人事担当者は冷酷

 

あるいは、

 

もっと厳しい罰で処する必要がある、人事担当者は甘い

 

個人ごとで感じる印象は異なるので、どちらの側からも文句は出る。


そんなこんなで、人事労務担当者は嫌われ者。
つらい立場なのである。

 

 

 

 

 

採用面接

 

そんな人事・労務担当者でも、担当者だからこその喜びを感じることができる仕事があります。

それは、採用。

 

新卒にしても、中途採用(経験者採用)にしても、会社に新しいメンバーを迎えるための面接は喜びにあふれる。

 

もちろん、不合格にしなければならない応募者もいる。それはつらい。

が、素晴らしい応募者に出会ったときの面接ったら、楽しくてウキウキして、小躍りしてしまう。

 

他の誰よりも早く受けることができるあの喜びだけは、何物にも代えがたい。

 


つい最近、そんな面接がありました。

面接官のひとりは、

 

彼ら彼女らが、中堅社員たちの仕事を奪ってしまうかもしれない(いい意味で)

 

とまで言うほどに、優秀で好感が持てる応募者たちでした。

面接官ではなくコントローラー役(応募者の誘導、待機時の雑談など)のわたしでさえ、こんな優秀な人材を来春迎えることができるのがワクワクするほどでした。

 

 

性善説性悪説

 

人事労務担当者は性善説にたつべきか、性悪説にたつべきか。

間違いなく、性善説だ。

 

「この応募者は将来きっと成長する人材だ」

「ミスを出してしまったけど、彼はそれを反省材料にし、再発防止策を立て、むしろ仕事の質が上がるはずだ」

「不祥事を起こし厳罰としたが、心を入れ替え、新たな場できっとまっとうな人生を歩んでくれるはずだ」

 

性善説は人事労務担当者だけではない。
世のリーダー全員がそうであるべきだ。

 

成長を期待するからこそ、厳しく叱る。

ハラスメントになるのは、部下の成長を期待していない、あるいは部下の成長なんてどうでもよくて自己中心なリーダーだ。

前回の記事で書いたとおり。

 

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面接も、そのような考え方でのぞみたい。

とはいえ、不合格にしなければならないときもある、もちろん。

それでも、

うちの会社では不合格にしたけど、他の企業・組織ではフィットするはず。がんばれ」

 と送り出したい。

 

 

まとめ

 

人事、労務の仕事は、ただそれだけでつらい。

でも、それらを凌駕して余りある喜び、それが採用です。

 

愚痴を書き始め、最後は自分を納得させる結びにしました。